その日の夕食は、ルルシー作のチキンサルサだった。

ルルサルサは、相変わらず美味しかった。

俺は秘蔵のワインを開けて、皆に振る舞った。

今日は記念すべき『青薔薇連合会』大勝利の日だ。今日くらいははめを外しても良かろう。

そう思って皆で飲んで、結局アリューシャは潰れ、アイズとシュノさんは酔って眠ってしまった。

俺も途中で寝落ちしてしまったのだが。





「…ん」

気がつくと、俺の身体に毛布がかかっていた。

横を見ると、シュノさんやアリューシャ、アイズが同じように、毛布をかけられて眠っていた。

…さっきまでルルシー宅のリビングにいたはずなんだが?

ルルシーに、寝室に運ばれたんだな…。

…と言うか、ルルシーは?

俺は三人を起こさないように起き上がって、リビングに向かった。

「…あ」

「ん?起きたか」

ルルシーは起きて、リビングの片付けをしていた。

わぁ。ルルシーだけ酔ってない。偉い。

酒に飲まれなかったのはルルシーだけだったんだな。

「ルルシーが俺達を運んでくれたんですか?」

「お前ら、順番に潰れれば良いものを同時に潰れるからな。骨が折れた」

それはご苦労様。

「いつもありがとうございます。お母さん」

「お母さんじゃない。ふざけんな」

「お母さんじゃないですね。ルルシーは俺の相棒ですから」

それ以外の何者にも、ならなくて良い。

ただ、俺の隣にいてくれれば、それで。

「…なぁ、ルレイア」

「はい?」

せめてルルシーの手伝いくらいはしようと、空になったグラスを両手に持つ。

するとルルシーは、心配そうな面持ちで俺に尋ねた。

「…お前の復讐は、もう完遂したんだよな?」

「そうなりますね」

「これで、生きる意味をなくしたなんて、言わないよな?」

…あぁ、ルルシー。

そんなことを、気にしていたのか。

復讐を終えた俺が、燃え尽き症候群を起こしてしまうのではないかと。

それが心配だったんだな。

何せ俺は、あの鬱状態を、復讐へのエネルギーで脱したのだからな。

その復讐が終わってしまったら、また活力を失ってしまうのではないか。

それは、俺も少しは考えたのだ。

けれど、その心配は必要ない。

「何を言います、ルルシー」

復讐が、終わったのだから。