「よ!おっけぇり~」

「ただいま、アリューシャ。アイズとシュノさんも」

「お帰り、二人共」

「お疲れ様」

一仕事終えて『青薔薇連合会』に戻ると、いつものメンバーが俺を迎えてくれた。

あぁ、やっぱりここに戻ると、帰ってきた、という気がするなぁ。

俺の居場所は、すっかりこちら側になった。

もうあちらになんて、戻りたいとすら思わないほどに。

「その様子だと、『交渉』は上手く行ったようだね」

「そりゃあ勿論。あちらさん、始めから選択肢なんてありませんからね」

そういう風に、俺が持ちかけたのだ。

拒否なんて出来ないようにな。

だから交渉と言うよりは、脅迫だな。

マフィアらしくて、実に良い。

「さっすがルレ公。やることがえげつねぇ~」

「うふふ。こんなに最高の復讐はありませんよ」

見たか。帝国騎士団を、下僕にしてやったぞ。

俺に、俺達に逆らえないように。

こんなに楽しいことがあるだろうか。こんなに胸がすくことが他にあるだろうか。

生きていて、本当に良かった。

「…ルレイアがうちに来てくれて、本当に良かったわ」

と、シュノさん。

全くだ。

「俺もそう思いますよ。この点オルタンスには感謝ですかね?あんなところで飼殺しにされるなんて、今考えたら吐き気がしますし…」

「ルレイアは始めから、こちら側にいるべき人間だったのよ」

「ルレイアが来てから、うちの成長は著しいもんね」

「そしてそのルレ公を連れてきた、ルル公にも功績があるな!」

ぱしん、とルルシーの肩を叩くアリューシャ。

「そうですよ。全てはルルシーの功績ですよ。ルルシーがいなきゃ、俺は今ここにはいませんからね」

ルルシーがいなかったら。

そのことを考えると、寒気がする。

彼の存在がなければ、俺は今でも、あの学校の学生寮での記憶に囚われて、一歩も進めなかっただろうな。

それとも、とっくに自殺でもしていただろうか?

いずれにしても、俺が生きているのは全て、ルルシーのお陰だ。

ルルシーがいないなら、こんな世界は生きている価値もない。

「そんな訳でルルシー。俺は今日最高に気分が良いので、今夜もルルシーご飯を食べさせてくださいね」

「…何でそこに繋がるんだよ…」

「今日は久し振りに、ルルシーのチキンサルサが食べたいな~」

「おぉ!ルルサルサ!なつい!」

「じゃあ、我々も後で行くね」

「…はぁ」

諦めたように溜め息をつくルルシー。

楽しみだな。ルルシーのサルサ。あれ美味しかったもんな。

「サルサは良いが、ルレイア。アシュトーリアさんに報告に行くぞ」

「えぇ~」

もう少し、ここで皆と話していたいなぁ。

折角復讐を完遂したんだから、余韻に浸っていたい。

「えぇーじゃない。サルサ作って欲しいなら早く来い」

「もー。仕方ないですねぇ。行ってきます」

「行ってらっしゃい」

アイズ達に見送られ、俺はルルシーと共にアシュトーリアさんの執務室を目指した。