The previous night of the world revolution

「ルシェ殿、大丈夫か…」

彼女のあまりの痛々しい姿に、リーヴァが労るように声をかけた。

顔面蒼白、呆然自失とは今の彼女のことを言うのだろうな。

自分の無能ぶりに気がついて呆けるのは勝手だが、能面になる前にやるべきことがあるだろうに。

まぁ、俺にはもう関係ない。

肝心なときに助けてくれない家族なんて、重荷にこそなれど、支えにはならないのだ。

「…しかし、この場合どうなるんだ。ルシファー殿が冤罪だったということは…。帝国騎士団からの追放そのものがなかったことになるのだろう?」

七番隊のフレイソナは、元凶のオルタンスでも、腑抜けになっているルシェでもなく、アドルファスに向かってそう尋ねた。

まぁ、順当に行けば三番隊である彼に聞くしかないよな。

「規定に従うなら…ルシファーは、帝国騎士団四番隊隊長に復帰することになるな。ついでに、返還させられた貴族としての籍も帰ってくる」

「はぁ?馬鹿ですかあなた。土下座されても戻りませんよ。自分を裏切った糞ゴミ揃いの無能集団に、誰が帰りたい奴がいるんです?」

隊長に復帰?貴族に帰る?冗談じゃない。

自分から捨てた癖に、やっぱり帰ってきて良いよなんて、馬鹿にするにも程がある。

大体、ようやく貴族の下らない家督問題やら何やらから解放されたのに。

そんなことは、俺の預かり知らぬところでやってくれ。

と言うか、残しておいても害しかないんだから、いっそ家ごと滅びてくれ。

「本人の意志は関係ない。冤罪だと分かったら、自動的に全ての権利が帰ってくることになってるんだ」

「ぐぇぇ。じゃあ返しても良いけど、即行また放棄するってことで」

「そうなるだろうな」

今更帝国騎士団になんて戻らないし、貴族にも戻らない。

戻れない、と言った方が良いか?

普通に考えて、戻ることなんて出来ないだろう。

割れたグラスを元通りになんて、誰が出来るんだ?

それに。

「第一、俺の処遇なんて考えてる暇あるんですか?自分達の無能ぶりのツケを払うのが先では?」

「…そうだな」

馬鹿なルシェのことや、俺の処遇をどうするかなんて問題よりも。

帝国騎士団のこれからについて話した方が余程賢明というものでは?

大体、こいつら今、崖っぷちだろ?

だから俺はこんなところまで足を運んだのだ。崖っぷちでおたおたするこいつらを、後ろから崖に突き落としてやる為に。