The previous night of the world revolution

「…駄目だ」

彼女は、ウィルヘルミナは、知っていたから。

俺が、真実という切り札を持っていることを。

いざとなれば、躊躇いなくそれを使うであろうことも。

だから、反対した。

「ルシファーに…『青薔薇連合会』に楯突いてはいけない。そんなことをすれば、そんなことをすれば帝国騎士団は…」

「何もしなければ、帝国騎士団は弱腰となじられ、帝国の犯罪率を上げるだけです」

ルーシッドはぴしゃりとそう言った。

彼の言うことは確かに最もだ。ここまで王家をコケにされて黙っていれば、多少なりとも国の秩序は乱れる。

けれども、彼の判断は間違っている。

何もしない方が、まだましだった。

ただただ、彼は知らなかったのだ。

「ルシファーとかいう人のことは、僕も聞きました。実際に会ったこともあります。確かに彼は非常に脅威でしたが…。でも、それ故に排除するのです。帝国民に牙を剥かせない為に」

間違ったことは、何も言っていない。

ルーシッドの言うことは、正しい。彼は正論しか言っていないのだ。

でも、愚かだった。

彼は、帝国騎士団の「正義」が本当は何であるか、考えなかったのだ。

それが、彼の敗因だった。

「…騎士団長、ご決断を」

「…あぁ」

反対を訴えるウィルヘルミナの声は、無視された。

きっと、これから何度、このときに戻ったとしても。

皆、同じ選択をしただろう。

「四番隊隊長、ルーシッド・デルマ・スヴェトラーナの提案した、非合法組織撲滅計画を実行する。全員、準備に当たれ」

オルタンスは、死刑宣告を下した。




…それが、自分達を殺す為の宣告だとも知らずに。