The previous night of the world revolution

俺が、勝ち戦を確信していた頃。

馬鹿な帝国騎士団は、滑稽な会議を開いていた。






「最早、一刻の猶予もありません。今すぐに、計画を実行しましょう」

馬鹿なルーシッドは、息を荒くしてそう提案した。

彼にとっても、恐れていたことが起きた、という認識なのだろう。

「クリュセイス家のご当主の妹君を殺害し、挙げ句の果て、何の罪もない無垢な帝国民にも危害が及んだ。非合法組織を野放しにしておくのは、危険過ぎます」

「…『厭世の孤塔』は、の話だろ?それも…奴らはもう壊滅したも同然だ」

と、アドルファス。

危険だ、という認識には賛同する。けれどそれは、全ての非合法組織に当てはまるという意味ではない。

あくまでアドルファスは、俺達との交戦を避けたいようだった。

…ある意味で、彼は一番、賢いことを言っていたのかもしれない。

「一人の知的障害者が凶悪犯罪を犯したから、二度と起こさない為に知的障害者全員を殺そうって言ってるのと同じだぞ」

けれども、この場で彼は、非常に不利な立場にいた。

「それが危険な存在なら、当然の判断でしょう」

「…」

「彼らが凶悪犯罪を起こす可能性があるなら、取り締まるのは当然です。それが…帝国騎士団の『正義』というものでしょう」

ルーシッドは、正義という言葉に目が眩んでいた。

それが、どれほど馬鹿げた理想であるかも知らずに。

更に。

「ここまで事件が大きくなった以上、ぬるい対策では世論が納得しないだろう」

十番隊のアシタリカが言った。

ニュースでは、連日今回の件について報道されている。

帝国民は皆、非合法組織への不信感を高めている。

ここで帝国騎士団が相応の対策を見せなければ、世論は帝国騎士団を非難するだろう。

それどころか、マフィアにやられっぱなしでぺこぺこするだけの、弱腰の帝国騎士団、と馬鹿にもされかねない。

そんな事態は、絶対に避けたいはずだった。

「…気は進まないが、やむを得まいな」

「あぁ」

元々はマフィア撲滅はに反対していた六番隊のリーヴァ、そして七番隊のフレイソナも、仕方ない、とばかりに頷いた。

…彼らもまた、賛成派に回ったのだ。

アドルファスも、今回ばかりはもう反論はしなかった。

諦めたように、一つ溜め息をついただけだった。

沈黙は、つまり肯定と同じ。

これで、賛成派が一気に、八人。

そして。

オルタンスもまた、反論することなく聞いていた。

反論しないということは、賛成するということだ。

そもそもこの時点で多数決は賛成派に傾いているのだから、反論に大した意味はない。

けれども、一人だけ。

真実を知る彼女は、頑なに反対した。