The previous night of the world revolution

「…ルレイア、本当に良いのか?」

アシュトーリアさんの執務室を出てすぐ、ルルシーは心配そうに尋ねた。

「あなたまで。俺は大丈夫ですって、何度も言ってるじゃないですか」

苦笑気味に答える。彼らは俺を弱虫だと思い込んでいるのだろうか?

「…怖いんだ、俺は。お前がまた…傷つく姿を見たくない」

「傷ついたりしませんよ、もう」

全く。心配性のルルシー。

俺は、ルルシーの右手を握った。

彼の方がびびっててどうするんだ。俺の相棒なのに。

「俺はもう大丈夫です。あなたが傍にいてくれる限り、俺が傷つくことは有り得ません」

「…ルレイア」

「いつでも、どんなときでも、俺の傍にいてくださいね。ルルシー」

そうすれば俺は、何処にでも行けるから。

何でも出来るし、誰を傷つけることだって出来るから。

「…あぁ」

ルルシーは頷いた。

彼は何を思うのだろう。かつて「正義」を目指して、貫いた男が、これほどまでに落ちぶれた姿を見て。

ルルシーは、色んな俺を見たことだろう。いじめられていた俺。帝国騎士団四番隊隊長だった俺。精神病患者になった俺。そして、マフィアの幹部になった俺。

全ての醜い姿を見て、それでもなお、彼だけは俺の傍にいてくれる。

それは同情なのか。それとも、愛なのか。

俺には分からない。聞いてみたい気がするけど、彼は優しいからきっと…。

「…お前が背負うなら、俺も背負う」

ルルシーは、俺の左手を強く握り返した。

「一人にはしないよ。ルレイア」

「恩があるから、ですか?」

「違う」

即答だった。

そうか。恩があるからではないのか。

「俺がそうしたいからするんだ。依存してるのは自分だけだと思うなよ」

「へぇ?そうなんですか。ルルシーは俺のこと大好きなんですね?何でですか?」

「うるさい。お前は何で俺が好きなんだよ?」

何でって。そんなの、理由は一つだ。

「…あなたは、俺の救世主だから」

二度、俺を救ってくれた。

そのことを、俺は一秒たりとも忘れていない。