The previous night of the world revolution

「俺は『青薔薇連合会』をなんとしても守るつもりです。その為には、あなたと繋がるのが手っ取り早い」

「…」

「あなたなら、色々知ってますからね」

存分に、利用させてもらう。

そのつもりで言った。

「…それで私には、一体何の見返りがある?」

「俺に溺れれば良い。女として生まれてきて良かったと思わせてあげますよ」

「お前のキープの何番目かにしてやるから、それで満足しろと?」

さすがウィルヘルミナ。分かってる。

「一番目にしてあげても良いですよ。あなたのことは元々嫌いじゃありませんでしたし。あなたもそうでしょう?」

「…」

「なんか、気に入りません?」

「…気に入らない。お前が上から目線なのが」

確かに。

自分でも相当悪辣なことを言っている自覚はある。

女性はもっと大事にするべきだなぁ。俺が言っても説得力に欠くが。

「お互い、割り切って付き合いましょうよ。俺にはそう言っても、あなただって俺を好きな訳じゃないでしょう」

「…」

「俺にありもしない罪を着せていた罪悪感。真実を知ってしまった背徳感。それを忘れたいあなたと。帝国騎士団の情報が欲しい俺。ギブアンドテイクじゃないですか?」

あくまでそういうことにしておいた方が、彼女にとってはやりやすいのかなと、そう思ったが。

しかしウィルヘルミナは、不満げに寝返りを打って、こちらに向き直った。

「…私は、そこまで割り切れない」

「あら、そうですか。じゃあどうします?」

これきりにしよう、とか言われると俺は困るんだけど?

だが幸い、そういうことではなかった。

「溺れさせるって言うんなら…ちゃんと溺れさせてくれ」

「…成程。それは良い」

抱き寄せて、情熱的な口づけを交わしても。

それでもそこに、愛はない。

分かっているのに、抜け出せない。

俺を魔性の男というルルシーの言葉は、正しく真実であるようだ。