The previous night of the world revolution

「ごめんなさいルルシー。反省してます。めちゃくちゃ反省してます。心から反省してます。多分もう二度としないので許してください」

「多分って何だよ。多分なら駄目だ。許さん」

「ルルシーのご飯がなくなったら俺が飢えて死にます」

「知るか。飢えろ」

酷い。

ルルシーの。ルルシーの怒りの根が予想以上に深い。

「俺はお前と一蓮托生だと思ってるのに、一人で勝手に危険に飛び込みやがって」

「…本当に悪かったと思ってますよ」

自分から危険に飛び込んでしまったという自覚はある。

万事上手く行ったから良いものの、シャリヤが俺を覚えていなかったら。彼女の夫がもっと我の強い人間だったなら。

俺も、ただでは済まなかったかもしれない。

今回は、俺らしくもなく危ない橋を渡ってしまった。

ルルシーが怒っているのは、俺が危ない橋を渡ったからではない。

一人で、それをやってしまったからだ。

…別にルルシーを信用していなかった訳じゃなくて、もしものことがあったときに彼を巻き込みたくなかったからなのだが。

そういうことじゃないんだろうなぁ、ルルシーが言いたいのは。

「…今度危険なことをするときは、ちゃんとあなたも巻き込みますよ」

「…」

「俺もあなたが危険なことをするときは巻き込まれます。生きるも死ぬも一緒です。だから…許してくれませんか」

ご飯やらカラオケやらは差し置いて、とにかくルルシーと仲違いしたままというのは、耐えられない。

だから、俺は誠心誠意謝った。

マフィアである俺が心から謝る相手は、今やルルシー含む、『青薔薇連合会』の家族だけである。

騙すのが俺の仕事ではあるが、今回の謝罪は本心だった。

ルルシーにも、俺の誠意は伝わってくれることを信じる。

「…仕方ない。今回だけだからな」

「ありがとうございます。ルルシー優しい」

何だかんだで、俺に甘い人だ。

お互い様なんだろうけど。

「そんな訳で、今日は和食食べたいなー」

「今日の献立は、チキン南蛮にステーキとチーズハンバーグだからな」

「めちゃめちゃガッツリ系じゃないですか!」

俺が食べるのしんどい奴ばっか!

「俺の夕飯が食べたいなら我慢しろ。今日はお仕置きメニューだ」

「う~…。でもルルシーご飯美味しいから我慢します…」

結局その日、俺はルルシー宅で、ガッツリメニューをガッツリ食べさせられた。

翌日、ガッツリ胃にもたれた。