The previous night of the world revolution

彼らの帰還に至るまでの経緯は、その他にも諸々あったのだが。

俺にとっては大して興味がないので、割愛し。

それよりも、帰国してからのことが重要であった。

シャリヤを手篭めにしたことでようやく解放された出張組は、一応全員、命はあった。

死んではいなかった。でも、無事とも言えなかった。

少なくとも、無傷ではなかった。

むしろ酷い傷だった。敵の巣窟に閉じ込められて、無傷でいられるはずもない。

相当手荒に扱われたらしく、アイズレンシア以下数名の構成員は、帰国するなり治療の為、病院に直行だった。

中には、命に関わるような重傷を負う者もいて。

アシュトーリアさんは病院に対して、彼らの命がもし失われるようなことがあれば、ただで済むと思うな、と直々に脅しをかけ。

震え上がった気の毒な病院スタッフは、全力を持って負傷者の治療に従事した。

そのお陰で、結局死者は出なかった。

『青薔薇連合会』はしばらくの間アシスファルトからの撤退を余儀なくされたし、彼らを無事に返せば制裁はやめると宣言した以上、『SiV』を責めることも出来なかった。

何ともすっきりしない終わり方のように思えるが、実はそうでもない。

何より、『青薔薇連合会』はウィンクロース家をバックにつけたと『SiV』に知らしめたのだから。

厳密には『青薔薇連合会』でなく、俺がシャリヤをバックにつけたのだが。

まぁ、似たようなものだ。

これでアシスファルト帝国にも、強力なパイプを得た。

結果オーライと言えなくもない。言えなくもないが…。

アイズのあの酷い怪我を見たら、そうも言っていられなかった。