The previous night of the world revolution

そうと決まれば、善は急げ。

俺は早速、出立の準備に取り掛かった。

すると。

「ルレイア!」

「あ…三人共お揃いで」

ルルシー、アリューシャ、シュノさんの三人が、血相を変えて飛び込んできた。

しかもルルシーなんか、珍しく怒っていた。

「お前!この馬鹿、何考えてんだ」

胸ぐら掴みあげんばかりに詰め寄られ、さすがの剣幕に俺も少したじろぐ。

「何って…。俺、何も考えてませんよ?」

「分かってるよ!何も考えてないからこんな馬鹿なことを思い付くんだ」

「えぇ…?」

何故自分が怒られているのか、そこが分からない。

俺に何の罪が?

「今アシスファルトに単身飛び込むなんて、無謀にも程があるわ、ルレイア」

ご立腹のルルシーに代わり、シュノさんが彼の怒りの理由を説明してくれた。

…あぁ、そういうことね。

もう聞いたのか。早いなぁ。

と言うか、アシュトーリアさんがばらしたのかな?あわよくば俺を止めてくれと。

確かに、ルルシーなら俺を止められるかもなぁ。逆に、彼以外に俺を止められる者は存在しない。

「ルレ公。生きてきたいならその選択はおすすめしないぜ。虎の穴に入らなきゃ虎の子は得られないとか言うけどさ。無理して虎の穴に入って、虎の子を得られるとも限らないんぞ?」

アリューシャまで、珍しく真面目な口調。

アリューシャがこの態度だと、調子狂うなぁ。

「大丈夫ですよ」

「お前のその楽観思考は何処に根があるんだ?せめて、部下を何人か連れていけ。一人でなんて無謀だ」

俺、昔から結構楽観主義だよね。

難しいことなんて、考えても仕方ない。

「部下なんて連れていったら、余計足手まといですよ」

俺は殴り込みに行くんじゃない。流血を避けて事を収めるつもりなのだから、連れていく人間を増やす必要はない。

自分一人だけなら、身を守れる自信もある。

「ルルシーもしかして、俺が耄碌したと思ってません?これでも一応、元帝国騎士団四番隊隊長ですよ?」

かつてのように剣を振り回したりはしていないが、研鑽を忘れてはいない。今もそれなりに…いや、以前よりももっと、俺は強くなった。

純粋な戦闘力だったら、『連合会』でも随一だと自負している。

だが、ルルシーが言いたいのはそういうことではないのだろうな。

「…どうしても、行くんだな?」

「えぇ、行きます」

「…分かった。なら覚えとけ。お前…死んだら、絶交だからな」

え。

「あの世で会っても、無視してやる。良いな?」

「良い訳ないじゃないですか。嫌ですよそんなの」

せめてあの世で会ったら話しかけてくれ。

「い・い・な?」

「…はい…」

有無を言わさぬとはこのこと。ルルシーとしても、最大限の譲歩なのだろう。

親友の制止を振り切っていくのだから、それくらいの覚悟はしなければならない。

更に、アリューシャも、

「…ルレ公がどうしてもってんならアリューシャは止めないよ。ただ、ちゃんと帰ってきなよ。『ポテサラーズ』のライブ、一人で行くなんて嫌だからね」

「…はい」

俺だって、楽しみにしていたライブに行けないのは嫌だ。

絶対無事に帰ってこよう。

しかし、それでもなお、俺を止める人間がいた。

「駄目。行っちゃ駄目よ、ルレイア」

シュノさんは、涙ぐみながら俺にすがりついた。