The previous night of the world revolution

「…アイズ、無事でしょうかね」

「…」

俺の小さな呟きを聞いて、後ろで控えていたエリュシアが、そっと俺の足元に跪いた。

まぁ、よく調教されていることだ。

当然だ。俺がやったんだからな。

そんなことはどうでも良い。アイズだ。あのアイズレンシアだ。彼のことが心配でならない。

…俺が彼のことをまだよく知らない内から、彼は度々俺の見舞いに来てくれていたよな。

『青薔薇連合会』1のハッキングスキルを持ち、アシュトーリアさんからも一番の信頼を寄せられていた。

ルルシーの家に、よく一緒に夕飯を集りに行った。

彼が死んでしまうとしたら…それは…嫌だな。

うん。嫌だ。

そもそも俺は元から、仲間や家族は大事にする人間だったんだ。

ただ前の組織では、仲間や家族が俺を大事にしてくれなかっただけで。

アイズを失うのは嫌だ。それに…仲間を失うのも嫌だ。

でも『SiV』と正面から対立すれば、必ず多くの犠牲が出る。

それも…同じくらいに嫌だなぁ。

何か、方法はないものか。

アシスファルト帝国。アシスファルトの裏社会で最も勢力の強い非合法組織。『SiV』。

「…あ」

そこで俺はふと、思い出したことがあった。

…そういや、俺は…アシスファルトに、行ったことがあるんだっけ。

忌々しい、帝国騎士時代に。

なんか…何の用だったか忘れたけど、式典か何かの為に、行ったんだよな。

で、そこで酷い飛行機酔いに悩まされたんだっけ?

あのときに、あの出張のときに、俺は…。

「…」

気がついたときには、俺はエリュシアを蹴飛ばすように立ち上がって、アシュトーリアさんのもとに向かっていた。