The previous night of the world revolution

しかし、助けると言ってもそう上手くは行かない。

ルティス帝国とアシスファルト帝国は飛行機の距離。

物理的な距離も離れている上に、向こうと連絡も取れない。

あるのは、不確定な「~らしい」という情報ばかり。

アシュトーリアさんが言うには、『青薔薇連合会』のアシスファルト支部を取り込んだのは。

アシスファルト帝国裏社会で、最も勢力の強い非合法組織だろう、とのこと。

奴らは元々、俺達とは折り合いが良くなかった。

先日アイズが出張に行ったのも、この組織とうちの支部との争いを沈める為だった。

あのときは上手く事を沈静化出来たと思っていたが、まだ火種が残っていたということらしい。

とにかく、らしい、らしいの情報しかない。確かな情報が得られない。

これがルティス帝国国内のことなら、どうとでも動ける。

けれども相手はアシスファルト帝国。容易に足を運ぶことすら難しい。

アシュトーリアさんは今回の件で、『連合会』アシスファルト支部を取り込んだ非合法組織、『SiV(シブ)』との全面対決を視野に入れているそうだった。

『SiV』は、帝国騎士団ほどではないが、敵に回すにはなかなかに厄介な相手だ。

そんな奴らと全面対決なんてしようものなら、俺達もどうなることか。

出来れば避けたいところではある。『SiV』との対決で弱った俺達を、別の組織が潰しにかかってくる可能性も充分にあった。

それらの危険性を踏まえた上で、それでもアシュトーリアさんはアイズを取り戻すことを選んだ。

そうしなければ、『青薔薇連合会』は信条を失ってしまう。

家族を見捨てるなら、俺達には最早何の強みもない。

それでも…それでも、俺は何とかして、流血を極力避けて、アイズレンシア達出張組を取り返せないかを考えていた。

それは、俺が人殺しを望まないからではない。

ただ、奴らと戦うのは骨が折れるから。それだけの理由であった。