The previous night of the world revolution

アシュトーリアさんの執務室に向かうと、彼女は見たことがないくらい、険しい顔をしていた。

どうやら、ただごとじゃない上に、ろくでもないことであるらしいな。

俺とルルシーが到着するのとほぼ同時に、アリューシャとシュノさんも飛び込んできた。

アイズが出張中でいない今、幹部はこれで全員だが…。

「…」

彼女のこんなにも険しい顔は、ルルシーもアリューシャ達も、見たことがないらしい。

二人共こちらからは何も尋ねず、アシュトーリアさんの言葉を待った。

ましてや、ここに来て比較的日の浅い俺に、口を開けるはずがなかった。

「…あの、アシュトーリアさん。何が…?」

シュノさんだけが、敢えてアシュトーリアさんに尋ねた。

彼女はアイズの次に、アシュトーリアさんと親しい仲だから、それが出来る。

「…アシスファルトに出張に行った子達が、襲撃を受けたそうよ」

アシュトーリアさんは、重々しく口を開いた。

出てきたのは、そんなとんでもない情報であった。

「襲撃…!?」

「アシスファルトにあったうちの支部が、既に向こうの組織に取り込まれていたらしくてね。到着した出張組を迎え入れるように見せかけて、襲撃したらしいわ」

「…」

自分の家の別荘に行ったと思ったら、既にそこは敵の巣窟だった訳だ。

そんな質の悪い罠にかかってしまったと。

「…アシュトーリアさん。…アイズは…?」

聞きたくはない。だが、聞かない訳にはいかなかった。

彼が無事であるなら、まだ。

アイズの名前を聞いて、アシュトーリアさんは更に目の色を変えた。

彼女にとってアイズレンシアは、一番大切な愛息子も同然なのだから…。

「…分からないわ。それ以上の情報が入ってこないの」

「…」

生死不明…か。

あのアイズのことだ。そう簡単にくたばる人間ではないと思うが…。

出張に行った仲間はそれほど多くはなかった。敵がどれくらいの規模だったのかは分からないが、もしやアイズは…もう…。

…いや、それを俺が考えても仕方ないことだ。

生きていると信じてこそ、助けようとすることも出来る。

こうなってしまったからには、こちらが出来ることを考えなければ。