The previous night of the world revolution

その連絡を受けた日、俺は呑気に、ルルシーの執務室に入り浸っていた。

「ねぇねぇルルシー。見てくださいよ俺の爪。超素敵でしょう?」

「あぁ?うん…。そうだな」

昨日施してもらったばかりのネイルをルルシーに見せに来たのに。

ルルシーはろくに見ようともせず、手元のノートPCに見入っている。

…俺のネイルはPC以下だって言うのか?

「ルルシーったら~。俺を無視したら、絶対良いことは起きませんよ」

「何だよ、全く…。お前仕事をしろよ」

「俺の仕事は、騙して、寝て、殺すだけの簡単なお仕事だから良いんです~」

簡単な事務仕事なんかは、エリュシアに任せておけば良いし。

最近始めた風俗店の経営も、軌道に乗ってきたし。

だからこうして、ルルシーのところでうだっても良いのだ。

「全く…。…あ、そうだ、ルレイア」

「はい?」

呆れたように溜め息をつきかけたルルシーが、ふと何かを思い出した。

「聞いたか?今年の春…帝国騎士団に、新しい四番隊の隊長が就任したらしいぞ」

「へぇ?」

それは初耳であった。

あんな糞みたいな組織、仕事でもない限りいちいち調べたりしないからな。

リーフリルから定期的に情報を得てはいるけど。

春になってからはまだ会ってないから、その情報は知らなかった。

「あのおっさん、とうとう耄碌したんですか?」

俺がいたとき五番隊の隊長だったアストラエアのことだ。

あいつ、見た目も性格も人間の底辺みたいな奴だったからなぁ。帝国騎士で良かったね。そうでもなきゃ誰も相手にしないよ、あんなの。

「いや、お前と同じで…帝国騎士官学校出たての騎士らしい。在学中からかなりの優等生だったそうだぞ」

「はぁー…。そうなんですか。そんじゃまぁ、俺と違って優秀なんでしょうねぇ」

自分で言うのもなんだが、帝国騎士官学校を出てすぐに隊長に就任するというのは、正に異例の快挙だ。

実際俺が初めての例だったし…。今でもそうあることではなかろう。

「…後で知ってショック受けたらいけないから、今言っておいた。卑屈になるなよ、あれはもう関係ない組織なんだから」

ルルシーは俺から視線を背けるように、言いにくそうなことを言った。

成程、気遣ってくれたらしいが。

「勿論、あれは俺とはもう関係のない組織ですよ?別に、誰を隊長にでもすれば良い。ただ…彼も捨て駒にされなければ良いですけどねぇ」

油断ならないぞ。何せ、俺という前例が出来てしまったのだから。

あぁ、怖い怖い。