The previous night of the world revolution

シューレンは、すってん、と転んだ。

本当に、スッ転んだのだ。

物の見事に。

…ルキハが、殴られる前に足払いをしたからだ。

「…は?雑魚かよこいつ…」

まさかこんなに綺麗に成功すると思っていなかったのか、ルキハも驚いていた。

何故攻撃を仕掛けた方が驚く。

「こ、この…」

無様に床とキスする羽目になったシューレンは、のろのろ起き上がって、改めてルキハを殴ろうとした。

が、ルキハももう相手にはしなかった。

「やめろ。これ以上騒いでたら、人が集まるぞ」

「…っ」

さっきから、N室ではかなり物音を立てている。特に先程の…シューレンの転倒。

何事かと思われてもおかしくない。

「あと、今度ルシファーを殴ったら、ルシファーを引き摺って警察に連れてくからな。そうなったらお前ら、人生終わりだぞ、終わり。教官や寮母じゃ有耶無耶にされかねないが、警察なら話聞いてくれるだろ」

ましてや、とルキハは言葉を続けた。

「証拠なら、そいつの身体に刻み込まれてるんだろうからな」

…ルキハの言う通り。

俺の身体は、シューレンに殴られた痣で一杯だ。

おまけにルキハという、証人までいる。

警察沙汰にすれば、学校側も有耶無耶には出来ないだろう。

俺はそんなことにさえ、気づかなかったのだ。

「まぁ、俺がばらさなかったとしても…お前らはどうせ駄目だろ。年下のルームメイトいじめて喜んでるようじゃ、ろくな騎士にならないだろうし。今時小学生でもそんな馬鹿なことしねぇよ」

ルキハは怒りを滲ませた声で、そう言った。

それは、演技じゃなかった。

警察と聞いて、シューレンも我に返ったようで。

ルキハに殴りかかるのを留まった。

「…クズ共が」

帝国騎士官学校では、演技をし続けていたルキハだが。

このときの件に関しては、全部素だったと…後で聞かなくても、それは分かった。