The previous night of the world revolution

作ってる段階から、なんか怪しいなー…とは思っていたのだ。

明らかに料理中とは思えない破壊音が聞こえてきたり、およそ人間の食べ物だとは思えないような臭いが漂ってきたり。

その臭いの恐ろしさと言ったら、寝ていたはずのルーさんが飛び起きて、びびりながら俺に助けを求めるほど。

俺も助けを求めたかった。出来ればルーさんを連れて全力逃走したい気分だった。

とはいえ、そんな失礼なことも出来ないので。

しばらく戦々恐々としながら待っていたら、出てきたのはこれである。

…それで、これ、何?

一体どんな食材をどんな風に組み合わせたら、こんな奇怪な料理が完成するのか。

もしかしてシュノさんは、錬金術師なのではなかろうか。

本気でそう思ってしまうほど、やばい代物だった。

真っ白なお皿の上には、濃い緑色のスライムみたいなぶよぶよの塊が、汚臭を放ちながら鎮座していた。

地獄の門が開きそうだな…。

そもそもこれは成功作なのか。俺の世界が狭いだけで、世の中にはこんな料理も存在するのか。

臭い食べ物、って以外とあるらしいからな。

世の中には一見見た目がグロテスクでも、食べてみたら意外と美味しかった、なんて食べ物はいくらでもある。

先人達は皆、最初は勇気を出して、それらを口に入れたのだ。

ならば俺達は、先人の勇者達に習い、今こそそのチャレンジ精神を発揮するべきなのではないか。

もしかしたら今の俺の勇気が、後々の食文化に多大な貢献をするのではないか。

あのとき俺が意を決して食べたからこそ、開ける豊かな食文化への道。

そうだ。それを信じよう。

大体、折角頑張って作ってくれたのに、今もそこで固唾を飲んで俺が食べるのを見守ってくれているのに。

そのシュノさんの思いを、無下にすることは出来ない。

さぁ、勇気を出せ、俺。

今こそ、マフィア幹部の威厳を見せるときである。

…そう思って、俺はスプーンを手に取り。

ぶよぶよのそれを一口、ぱくりと口に入れた。


















…結果、ルティス帝国の豊かな食文化の未来は、固く閉ざされた。