The previous night of the world revolution

…気がつくと、そこにルキハがいた。

幻かと思った。

でも、幻じゃなかった。

「何を…やってるんだ?あんたら…」

ルキハは呆然と、床に這いつくばる俺を見つめていた。

…どうして、彼がここに…。

「あ?何だよお前。こいつのダチか?」

俺が殴られているのを、横で楽しげに眺めていたベリアスが、ルキハに尋ねた。

「…何で、ルシファーを殴るんだ?」

ルキハは問いに答えず、逆にベリアスにそう尋ねた。

こいつは、質問を質問で返すのが好きならしい。

ぼんやりとした頭で、そんなことを俺は考えた。

だが、ルキハは至って真面目だった。

「何で?下級生なんだから、上級生の憂さ晴らしに付き合うのは当然だろ」

何を当たり前のことを、とベリアスは鼻で笑った。

「それにしたってこれはやり過ぎだろう。一人を寄って集ってリンチするなんて、それが未来の帝国騎士のやることか?」

ルキハはこの場で誰よりも、帝国騎士から離れた場所にいた。

それなのにこの場で彼は、最も帝国騎士として正しいことを言った。

「…何だよお前。俺らに口答えするのか?」

シューレンはこめかみに血管を浮き立たせて、ルキハに歩み寄った。

「大体、何で先輩に向かってタメ語なんだよ」

「クズを敬う趣味はない。俺はな、お前らみたいな奴が一番嫌いなんだよ」

…なんてことだ。

上級生に向かって、ルキハはなんてことを。

止めたかったが、止めようにもそもそも身体が動かなかった。

「一年早く生まれただけで随分偉そうだな。これがお前らの言う『正義』か?もしそうなら…帝国騎士団もたかが知れてるな」

心底軽蔑したように吐き捨てたルキハを。

クズ呼ばわりされて完全にキレたシューレンが、殴りかかろうとした。



…だが、その拳がルキハに届くことはなかった。