The previous night of the world revolution

「何より、あなたにはアシュトーリアさんからの信頼がある。今まで長い間かけて培ってきた信頼。それと部下からの人望。それらは俺にはないものですよ。あなただからこそあるものです」

俺は恐らく、長くマフィアにいても、シュノさんほどの信頼と人望は得られないだろう。

だって、俺の仕事は人を騙すことだから。

人を騙すことを生業とする人間なんて、大抵の人は無意識に敬遠してしまうだろう。

「それにほら、この間の『厭世の孤塔』襲撃の際も、一番に俺達を庇ってくれたでしょう?」

例の、格好良い台詞と共に。

まず真っ先に仲間を庇おうとした。それは、シュノさんだからこそそうしたのだ。

「あなたは素晴らしい人間だ。だから…それを誇りこそしても、恥じる必要はありませんよ」

「…そう、かな」

「そうですよ、シュノさん。俺は人を騙すのが仕事ですけど、家族には嘘はつきませんからね」

口八丁で人を騙すのが俺の専売特許だが。

今ばかりは、本心であった。

「…そっか。ありがとう」

シュノさんは嬉しそうに微笑んだ。

…ちょっとは元気、出たかな?

「…お昼、一緒に食べます?」

「うん、食べる」

「じゃあ行きましょう。俺奢りますよ」

「良いの?ありがとう」

ぱっ、と明るい笑顔になるシュノさん。

うん、彼女はやはりその方が似合う。

お昼ご飯の帰り、ルーさんの好きなおやつでも買って帰ろう。







…問題、と言うか。

事件は、その昼食の後に起きた。