リーフリルと寝た後で、俺は鼻唄混じりに『青薔薇連合会』に戻り。

さて、早速アシュトーリアさんに報告に行こうかと思っていたところ。

「あ、ルレイア」

「…うわっ。ルレ公だ」

「あぁ、二人共」

廊下で鉢合わせたアイズとアリューシャに、俺は早速戦果を報告しようとした。

しかし。

「寄るな。お前アリューシャに近寄るんじゃねぇ」

アリューシャは、しっしっ、と俺を手で追い払った。

なんてことを。

「酷くないですか?」

「いや…アリューシャの気持ちは分かる」

アイズまで。

俺達家族じゃなかったんですか。俺が新参者だからって。

「何でですか。そんなに俺のこと嫌いですか?」

「別に嫌いじゃねぇよ。そうじゃなくてお前…『事後』だろ?」

…事後?

少し考えて、アリューシャの言うところを理解した。

「あぁ、セックスした後ってことですか?」

「そうだよ。おめーはすぐ分かるんだよ!何せエロエロフェロモンだだ漏れだからな!」

「普段からして官能的だけど、『事後』はまたいつにも増して雰囲気出てるもんね」

人聞きの悪い。人をまるで発情期のような。

「アリューシャの半径三メートル内に入んなよ」

「良いじゃないですか別に」

「何が嬉しくて男相手にエロい気分にならにゃならんのだ!」

「も~…。仕方ないですねぇ」

アリューシャが近寄るなと言うので、俺は数歩後ろに下がり。

でもタダで引き下がりたくもないから、妖艶に微笑んで、

「…実は俺、男同士でも『良い』って評判ですけど…試してみます?」

「…」

並みの相手なら、まぁこれで一撃ノックアウトだろうなぁ。

アリューシャはしばしぽかんとして、それから爆発した。

「やんねーよ馬鹿!一瞬持っていかれかけたじゃねーか!」

ふふ。危ないところだったらしいな。

「この歩くフェロモン噴霧器め。さっさとシャワー浴びてこい!ちっとはましになるから」

アリューシャが怒るから、アシュトーリアさんへの報告の前にシャワー浴びていくかな、と思っていたら。

アイズが、俺を引き留めた。

「ちょっと待って、シャワーの前に…。やったということは、情報は掴めたの?」

「はい。割と簡単でした」

「やった後、殺した?」

「いいえ。この後も使えそうだったので、生きたまま帰しました。また何か情報が必要なら、一晩寝れば吐かせられそうです。しばらくは餌を与えておこうかと」

「そう。分かった」

端から見れば、かなり倫理に反したことを話しているが。

アイズもアリューシャも、不快な表情は見せなかった。二人共『青薔薇連合会』の幹部なだけあって、肝が据わっているのだ。

大体、俺が拐かして利用された女は、もう何人もいる。

今更リーフリルの一人くらい、なんということもない。

「それじゃ、アシュトーリアさんへの報告に行ってきまーす」

「シャワー浴びてから行けよ!」

「はーい」

気の毒なリーフリルはさておいて、アシュトーリアさんに良い報告が出来るのが楽しみである。