俺はリーフリルさんを伴って、近くにある喫茶店に入った。
さりげない風を装ってはいるが、実はこの喫茶店も『青薔薇連合会』の息がかかっている。
事前の打ち合わせ通り、店内には俺とリーフリルさん以外客は誰もおらず。
店内には、妖しい香りを放つお香の匂いが充満していた。
けれども、久々の再会で喜ぶリーフリルさんは、そんなことにも気づかないようだった。
「ルシファー様、私…。あなたに憧れて、あなたみたいな帝国騎士になりたくて、あれからたくさん頑張って、今年から帝国騎士団に入団したんです。初年度から六番隊の分隊長に任命されたんですよ」
「へぇ、それは凄いですね」
それは本当に凄い。入団してすぐの年から分隊長以上のクラスに任命されるということは、かなりの実力であるらしい。
そういえばルルシーも同様に、始めの年から分隊長になっていたが…そうそうあることではない。
俺は隊長だったけどな。
そうか。俺みたいな…俺みたいな帝国騎士なぁ。
リーフリルさん。悪いことは言わないから、それはやめておいた方が良い。
何せ俺は、帝国騎士団を裏切ってマフィアに寝返り、更には無垢な帝国騎士を拐かそうとしている、『立派な』元帝国騎士なのだから。
「今日は休日で、街を歩いていたんですが…。そこを、あの人達に囲まれてしまって」
「とんでもない暴漢達でしたね。でも…分隊長ともあろう方なら、俺が助けに入らなくても返り討ちでしたね。全然人を見ずに足が動いてしまったものですから…」
我ながら、よくもまぁこんなにぽんぽんと、嘘が出てくるものだ。
偽善者の面を被るのはお得意だな。
「でも、私嬉しかったです。ルシファー様…全然変わってないんですね」
「…そうですか?」
「はい。困ってる人や助けを求めている人がいたら、すぐに助ける…。本当に、あなたは優しい人です」
ちょっと、笑いが出そうになる。
そこを堪えて演技を続けるのが、俺の仕事だ。
「それにしても、ルシファー様…。どうして、帝国騎士団を辞められたんですか?今年入団してから、真っ先にあなたを探したのに…。誰に聞いても、あなたはいなくなったとしか言わなくて」
機密保持の為に、俺が退団した理由を知っているのは当時の副隊長以上の人間に留めているのだろう。
「それに…隊の中では、例の女王陛下の暗殺未遂事件の犯人はあなただったんじゃないかって…噂にもなってて」
厳格な報道規制が敷かれた結果、あの事件で一般に報道されたのは、「ローゼリア女王が暗殺されかけたこと」と、「その犯人は帝国騎士団の隊長であること」に限られる。
それが誰であるか、名前までは報道されていない。
まぁ、少し内情に詳しい者ならすぐに調べがつくだろうが。
「私は信じません。あなたがそんなことするはずがない。他に何か、理由があるんでしょう?何が…」
「真実ですよ、リーフリルさん」
「…え?」
「俺が、ローゼリア女王暗殺未遂事件の犯人です」
「…」
さすがのリーフリルさんも、質の悪い冗談を聞いたかのような顔をしていた。
無理もない。信じていた人間が極刑物の大罪を犯したと聞いて、冷静でいられるはずもない。
さりげない風を装ってはいるが、実はこの喫茶店も『青薔薇連合会』の息がかかっている。
事前の打ち合わせ通り、店内には俺とリーフリルさん以外客は誰もおらず。
店内には、妖しい香りを放つお香の匂いが充満していた。
けれども、久々の再会で喜ぶリーフリルさんは、そんなことにも気づかないようだった。
「ルシファー様、私…。あなたに憧れて、あなたみたいな帝国騎士になりたくて、あれからたくさん頑張って、今年から帝国騎士団に入団したんです。初年度から六番隊の分隊長に任命されたんですよ」
「へぇ、それは凄いですね」
それは本当に凄い。入団してすぐの年から分隊長以上のクラスに任命されるということは、かなりの実力であるらしい。
そういえばルルシーも同様に、始めの年から分隊長になっていたが…そうそうあることではない。
俺は隊長だったけどな。
そうか。俺みたいな…俺みたいな帝国騎士なぁ。
リーフリルさん。悪いことは言わないから、それはやめておいた方が良い。
何せ俺は、帝国騎士団を裏切ってマフィアに寝返り、更には無垢な帝国騎士を拐かそうとしている、『立派な』元帝国騎士なのだから。
「今日は休日で、街を歩いていたんですが…。そこを、あの人達に囲まれてしまって」
「とんでもない暴漢達でしたね。でも…分隊長ともあろう方なら、俺が助けに入らなくても返り討ちでしたね。全然人を見ずに足が動いてしまったものですから…」
我ながら、よくもまぁこんなにぽんぽんと、嘘が出てくるものだ。
偽善者の面を被るのはお得意だな。
「でも、私嬉しかったです。ルシファー様…全然変わってないんですね」
「…そうですか?」
「はい。困ってる人や助けを求めている人がいたら、すぐに助ける…。本当に、あなたは優しい人です」
ちょっと、笑いが出そうになる。
そこを堪えて演技を続けるのが、俺の仕事だ。
「それにしても、ルシファー様…。どうして、帝国騎士団を辞められたんですか?今年入団してから、真っ先にあなたを探したのに…。誰に聞いても、あなたはいなくなったとしか言わなくて」
機密保持の為に、俺が退団した理由を知っているのは当時の副隊長以上の人間に留めているのだろう。
「それに…隊の中では、例の女王陛下の暗殺未遂事件の犯人はあなただったんじゃないかって…噂にもなってて」
厳格な報道規制が敷かれた結果、あの事件で一般に報道されたのは、「ローゼリア女王が暗殺されかけたこと」と、「その犯人は帝国騎士団の隊長であること」に限られる。
それが誰であるか、名前までは報道されていない。
まぁ、少し内情に詳しい者ならすぐに調べがつくだろうが。
「私は信じません。あなたがそんなことするはずがない。他に何か、理由があるんでしょう?何が…」
「真実ですよ、リーフリルさん」
「…え?」
「俺が、ローゼリア女王暗殺未遂事件の犯人です」
「…」
さすがのリーフリルさんも、質の悪い冗談を聞いたかのような顔をしていた。
無理もない。信じていた人間が極刑物の大罪を犯したと聞いて、冷静でいられるはずもない。


