The previous night of the world revolution

俺のターゲットである、リーフリル・アイリアル・ヴェルヴィットは、案の定俺に気がついた。

そうでなくては困る。

彼女が俺を忘れていたなら、この作戦は全くの無駄骨に終わってしまうところだった。

「ルシファー様…ルシファー様でしょう?」

「あなた…確か、リーフリルさん…?」

俺は驚いた風を装って、彼女に振り向いた。

忘れてなどいない。しっかり覚えている。

彼女は俺が帝国騎士時代に、市外の騎士官学校で爆弾立てこもり事件を起こした張本人であり。

俺の説得により投降した、あのときの女子生徒だ。

「はい、そうです。ルシファー様…。お会いしたかったです」

リーフリルさんは、涙ぐみながら俺を崇拝の目で見つめた。

…素晴らしい。及第点どころか満点の出来ではないか。

帝国騎士時代の俺も、あながち奥手のチェリーボーイではなかったらしいな。

三年近くたった今でも、この少女の心を捕らえて離さないとは。

「…どうやら積もる話が色々あるみたいですね。場所を変えましょうか」

何も知らない、無知で愚かで、憐れな少女は。

俺の誘いに、まんまと引っ掛かった。