The previous night of the world revolution

出会った頃の彼は、ルキハと名乗っていた。

ルキハ・シェルシュ・ティグラーダ。帝都の片隅に邸宅を構える、名の廃れた弱小貴族の次男ということだった。

それまでは郊外にある別宅の方で、地方の騎士官学校に通っていたそうだが。

本宅に住んでいた跡取り候補の長男が重い病にかかり、生死すら危ぶまれるということで。

家督相続権を次男であるルキハに継承させる為、帝都の本宅に戻されたと。そういう経緯だった。

そういう、設定だった。

中流以上の貴族が集まる騎士官学校で、弱小貴族の出だというルキハは、かなり馬鹿にされていた。面と向かって態度に出しはしなかったが、クラスメイトはほとんど、彼を見下したような目で見ていた。

この田舎者め、と。

馬鹿なクラスメイト達は、自分が貴族の生まれであることに誇りを持つように育てられているから、そういう低俗なことをするのだ。

馬鹿だから。

それにルキハは、あの頃はそんなに大した実力でもなかった。十把ひとからげの実力しかなかった。

まぁ、そこそこというくらい。

悪くもないけどそんなに良くもない。その程度。

だからクラスメイトは、あっさりとルキハに興味をなくした。なんだこんなもんか、と落胆していた。

それでも俺のように無視することはせず、まぁ会えば挨拶くらいするかな、というくらいの付き合いをしていた。

馬鹿だから。

クラスメイトは皆馬鹿だから、誰も気づかなかったのである。

教官達でさえ、騙されていた。

俺も最初の頃は、気づかなかったほどだ。

ルキハの…本当の実力を。