The previous night of the world revolution

結果。

…俺はもしかしたら、帝国騎士でもマフィアでもなく、美容師になるべき人間だったのかもしれない。

「ふぉぉぉ…。凄い」

シュノさんは、きらきらした目で鏡を見つめていた。

俺自身も、この出来映えに脱帽である。

俺、来世は絶対美容師になろう。

それくらい、上手くカット出来ていた。

いや、俺が上手いんじゃなくて、前の髪型が酷過ぎただけか?

ばらばらだった毛先は自然に揃い、毛束の量も左右均等に戻っていた。

ほとんど見様見真似だったのに、これほど上手く出来るとは。

「折角なので、ヘアアレンジとかやってみて良いですか?」

「うん」

なんと快諾である。素晴らしい進歩だ。

別に点数稼ぎのつもりはなかったのだが、図らずも百点満点をもらってしまった気分だ。

カットしたついでに、俺は自前のコテで彼女の髪を巻き、ふわふわの巻き髪を作った。

更に、サイドの毛束を少し取ってカチューシャ風の編み込みをプラス。これでガーリーさが増した。

コテやら編み込みやらも、俺は初めてやったのだが。

天才的に上手いな。俺は。

「凄い!ルレイアって元帝国騎士って聞いたんだけど、元美容師の聞き間違い?」

「いや、全然違いますから。元帝国騎士で合ってます」

俺も一瞬、自分はもしかして元は帝国騎士でなく美容師ではなかったかと思ってしまった。

自惚れが過ぎるか。

…そうだ。ここまで来たら、もうやるところまで全部やるか。

「ちょっと待っててください、シュノさん。アリューシャにメイク道具借りてきます」

「メイクも出来るの?」

「俺は今、自分の手先の器用さを過信してますから。あなたも信じて任せてください」

「分かった」

あのシュノさんが、こくり、と素直に頷くほどには、俺の腕は確かであるようだった。