The previous night of the world revolution

…元々俺は、物覚えは良い方であるので。

仕事自体は、割とすぐに習得した。

シュノさんは髪型を指摘されたお返しに、色々と俺にケチをつけたかったみたいだが、残念ながらあまり責めるところが見つからなかったようで。

ぐぬぬ、と黙っていた。

まぁそんなものは可愛い方だ。

三日も持たないとか、お前は相応しくないとか言われることはないし。

さっさと潰れちまえとばかりに死ぬほど仕事押し付けられることがない辺りは、最高の職場である。

とはいえやっていることは、まぁ人には言えないような汚い仕事だ。

脅迫も暴力も平気でするし、帝国騎士団の人間が見たら憤慨ものの犯罪行為もお手の物。

実際やってみたら少しは躊躇うかと思ったが、今までずっとその仕事をやってきたかのように、難なく出来た。

まるで罪悪感もなかった。

簡単なことだ。今まで仕事で書類にサインをしていたように、仕事で人を殺せば良いだけ。俺にしてみれば、そこに大した差はなかった。

どうやら随分肝は据わっているらしいと判断したのか、一週間もたつ頃には、シュノさんは始めの頃のようにあからさまに俺を警戒したりはしなくなった。

…が。




「…」

「…!何?何よ?何でこっち見てるの!?」

「あぁ、いえ…何でもないですけど」

「言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」

「…」

とは、言うけどさ。

言いたいことがあるならはっきり言えって、あなたはそう言うけどさ。

はっきり言えるなら、何も苦労してないよ。

上司としてはそれなりに良い人なのだが、このシュノ・ルヴァーシュという女性。

どうにも突っ込みどころが満載である。

髪型は相変わらず落武者じみてるし、その上、何と言うか。

…はっきり言って、私服が凄くダサい。

ダサい上に、センスの欠片もない。

本日の彼女のファッションは、毒々しい真っ赤なTシャツの上に、丈の長いショッキングピンクのカーディガン。

更に、足首までまとわりつくような野暮ったい青のスカート。真っ黒なスニーカー。

どっかの国の国旗みたいなカラーリングだ。

目がちかちかする。

いかがなものか、これは。

俺も自分の服のセンスについて自信がある訳ではないが、少なくともこれよりましではないかと思う。

何見てるのよ、と言うけど。そりゃ嫌でも目に入るよ。そんな国旗みたいな服着てたら。

「ふんっ」

俺は一言も言ってないのに、俺の考えていることが大体伝わったのか。

シュノさんは、あからさまにそっぽを向いた。

…そろそろ、何とかしたいところだ。