素人が見れば、一瞬で泣いて逃げ出しそうだ。
「普段は、入会希望者にこんなことはしないのだけど…。あなたは、うちに来るには経歴が不信過ぎるわ」
「…ご最もです」
ルティス帝国の上流貴族。誰もが名前を知るウィスタリア家の次男。
そして、帝国騎士官学校を首席で卒業し、異例のスピード出世で帝国騎士団四番隊隊長にまで上り詰めた。
実際にそれだけの才覚がある。並みの人間とは言いがたいだろう。
彼女達にとっては、俺は目の上の瘤どころではないような存在だ。
更に、俺は帝国騎士団をクビにされた身。先程も言ったように、汚名返上の為に『青薔薇連合会』のボスの首を獲って、それと引き換えに騎士団に戻せと交渉することも出来る。
いつ裏切るかも分からない危険分子を、わざわざ組織に引き入れるメリットなどないのだ。
むしろ彼女達にとって、俺は有効に使える交渉材料だ。今すぐ俺を引っ捕らえて、騎士団に差し出せば良い。お宅の元隊長がうちに寝返ろうとしていると騎士団に突っ返せば、それだけで『連合会』は騎士団に貸しを作ることになる。
あるいは、そんな俺を拷問して、自白剤を打ちまくって、好きなだけ情報を喋らせても良い。どうせ俺はもう騎士団から捨てられているのだから、邪魔をする者はいないし、俺が死んでも咎められることはない。
どうとでも好きなように利用出来る。けれどそれをしないのは、俺がルルシーの恩人であり友人であるからだ。彼が仲介してくれているからだ。
俺がこんな賓客のような扱いを受けているのは、全てルルシーのお陰なのだ。
いつもそうだけど、彼には頭が上がらないな。
単純に言えば、俺には信用がないのだ。
やれやれ。何処かで聞いたような話だな。
最初に帝国騎士団に入ったときも、散々信用がないと言われたっけ。何処に行けば俺は信用してもらえるのやら。
俺はこんなに真心を持って、マフィアに加入しようとしているのに。
「ですが、アシュトーリア様。私は本心からあなたに仕えようとしています。信用してください」
「でも、あなたは帝国騎士団に入ったときも、女王にそう言って入ったのでしょう?」
「えぇ。あのときはまさか、自分が裏切られる側だとは思っていませんでしたから」
つまりは。
「あなたが私を裏切らない限りは、私はあなたを裏切りません。少なくとも私の方からあなたを欺くことは有り得ないということを、まずは保証しておきます」
「あらあら、大変ね。私はおちおち部下を切り捨てられないってことね」
「あなたはそんなことをするんですか?」
「まぁ、する気は全くないのだけど」
それでこそだ。
もう組織のトップにあらぬ裏切りを受けるなんて御免だからな。
「私も裏切られるのは嫌ですもの。あなたを裏切ったらどんな報復をされるか分かったものじゃないから、やめておくわ」
「ありがとうございます」
残念なことに帝国騎士団の連中は、俺を裏切ったが為に、とんでもない報復を受けることになるからな。
自業自得だが。
「なら、同じ契約をしましょう。あなたが私を裏切らない限りは、私もあなたを裏切らないわ。それで良いわね?」
「分かりました。結構です」
「証人はここにいる全員。聞いたわね?もしあなたが裏切ったら、私は全く容赦はしないわ」
「それはお互い様です、アシュトーリア様。拳銃を突きつけあった信頼関係ほど信用出来るものはありませんね」
にこやかに話しているその後ろで、黒服達は勿論、ルルシーでさえ冷や汗をかいていた。
当人達だけが、何処までも穏やかであった。
「普段は、入会希望者にこんなことはしないのだけど…。あなたは、うちに来るには経歴が不信過ぎるわ」
「…ご最もです」
ルティス帝国の上流貴族。誰もが名前を知るウィスタリア家の次男。
そして、帝国騎士官学校を首席で卒業し、異例のスピード出世で帝国騎士団四番隊隊長にまで上り詰めた。
実際にそれだけの才覚がある。並みの人間とは言いがたいだろう。
彼女達にとっては、俺は目の上の瘤どころではないような存在だ。
更に、俺は帝国騎士団をクビにされた身。先程も言ったように、汚名返上の為に『青薔薇連合会』のボスの首を獲って、それと引き換えに騎士団に戻せと交渉することも出来る。
いつ裏切るかも分からない危険分子を、わざわざ組織に引き入れるメリットなどないのだ。
むしろ彼女達にとって、俺は有効に使える交渉材料だ。今すぐ俺を引っ捕らえて、騎士団に差し出せば良い。お宅の元隊長がうちに寝返ろうとしていると騎士団に突っ返せば、それだけで『連合会』は騎士団に貸しを作ることになる。
あるいは、そんな俺を拷問して、自白剤を打ちまくって、好きなだけ情報を喋らせても良い。どうせ俺はもう騎士団から捨てられているのだから、邪魔をする者はいないし、俺が死んでも咎められることはない。
どうとでも好きなように利用出来る。けれどそれをしないのは、俺がルルシーの恩人であり友人であるからだ。彼が仲介してくれているからだ。
俺がこんな賓客のような扱いを受けているのは、全てルルシーのお陰なのだ。
いつもそうだけど、彼には頭が上がらないな。
単純に言えば、俺には信用がないのだ。
やれやれ。何処かで聞いたような話だな。
最初に帝国騎士団に入ったときも、散々信用がないと言われたっけ。何処に行けば俺は信用してもらえるのやら。
俺はこんなに真心を持って、マフィアに加入しようとしているのに。
「ですが、アシュトーリア様。私は本心からあなたに仕えようとしています。信用してください」
「でも、あなたは帝国騎士団に入ったときも、女王にそう言って入ったのでしょう?」
「えぇ。あのときはまさか、自分が裏切られる側だとは思っていませんでしたから」
つまりは。
「あなたが私を裏切らない限りは、私はあなたを裏切りません。少なくとも私の方からあなたを欺くことは有り得ないということを、まずは保証しておきます」
「あらあら、大変ね。私はおちおち部下を切り捨てられないってことね」
「あなたはそんなことをするんですか?」
「まぁ、する気は全くないのだけど」
それでこそだ。
もう組織のトップにあらぬ裏切りを受けるなんて御免だからな。
「私も裏切られるのは嫌ですもの。あなたを裏切ったらどんな報復をされるか分かったものじゃないから、やめておくわ」
「ありがとうございます」
残念なことに帝国騎士団の連中は、俺を裏切ったが為に、とんでもない報復を受けることになるからな。
自業自得だが。
「なら、同じ契約をしましょう。あなたが私を裏切らない限りは、私もあなたを裏切らないわ。それで良いわね?」
「分かりました。結構です」
「証人はここにいる全員。聞いたわね?もしあなたが裏切ったら、私は全く容赦はしないわ」
「それはお互い様です、アシュトーリア様。拳銃を突きつけあった信頼関係ほど信用出来るものはありませんね」
にこやかに話しているその後ろで、黒服達は勿論、ルルシーでさえ冷や汗をかいていた。
当人達だけが、何処までも穏やかであった。


