The previous night of the world revolution

その頃、ルティス帝国全体が、妙に浮かれていた。

俺はそのことに気づいていた。

テレビの代わりに新聞を読むと、その理由はすぐに分かった。

ローゼリア女王の、治世10周年記念日が近付いているのだ。

特別措置として、当日は祝日になるらしい。

更に王宮では盛大な式典が執り行われることになっており、抽選で選ばれた一般帝国民も参加出来るそうな。

帝都では特別にパレードも行われるとか。

そんな訳で、国中がお祝いムードになっているのだ。

世間から隔離されている病院の中でさえ、そのムードは広がっていた。

病院でも、その日はお祝いとして、院内を飾り付けたり、入院患者にケーキを振る舞ってくれるそうだが、俺にとってそんなことはどうでも良かった。

病院のスタッフは、俺の過去を知らない。

知っていたら、こんなことを祝うはずがなかった。

ルルシーが、女王や帝国騎士団の話を俺にしないように言ってくれているのだろう。スタッフは普段、俺にそのような話しはしない。

しかしそのときばかりは、スタッフも悪気なく、記念祭についての話を振ってきた。

楽しみですね、なんて。

別に、何も楽しみではないが。

そのときは、まだ何とも思っていなかった。そうか、もう10年になるのか、と思ったくらいだった。

それが崩れたのは、記念祭当日のことだった。