The previous night of the world revolution

「こんな姿になってまで、生きていたくない。俺の人生なんて、めちゃくちゃじゃないですか。ずっと…。やりたいこととか、何もさせてもらえずに強制されて生きてきて…。最後は、こんな形で捨てられて」

「あぁ」

「学校でだって、酷い目に遭った。あなたに会うまでずっと。誰も助けてくれなかった。あなたに会うまで誰も。俺は優秀でないと、ちゃんと役目を果たさないと、生きている価値がないんだ。だから、誰も助けてくれなかった」

「…お前、思い出したのか」

あぁ。やはりルルシーは、俺が忘れていることに気づいていたのか。

気づいていて、敢えてその話に触れないようにしてくれていたのだ。

「俺はウィスタリアの次男で、帝国騎士でないと、誰も必要としてくれない。だから…今の俺にはもう、何の価値もないんだ。生きていたって恥を晒すだけだ。早く逃げたいんだ!」

さっきから、もう言ってることがめちゃくちゃだ。

自分が何を言っているのかも、よく分かっていなかった。

ただ、楽になりたかった。

今生きているだけで、お前は何の価値もないのに何で生きてるんだって声が聞こえてくるんだ。

生きているだけで、息が苦しくて堪らないんだ。

この苦しみを、早く終わらせたいと願うことは、そんなに罪なことなのか?

「…辛かったな。それは」

ルルシーは、ぽつりとそう言った。

俺はお前を必要とする、ではなかった。生きている価値はある、でもなかった。

ただ、慰めるようにそう言った。

「死にたくなるほど、辛かったんだな。可哀想に」

「…」

「泣きたいだけ泣いたら良いぞ。全部受け止めるから」

…この、

「…何で」

どんなチープな慰めの言葉より。同情よりも。

ただ受け止めてくれることが、こんなに安心するなんて。

そんなことを、してくれた人なんて今まで一人もいなかった。

…泣いても誰も受け止めてくれないって分かってたから、泣かなかった。

でも、今。今になって。

受け止めてくれる人が、ここにいる。

そう思うと、涙が止まらなかった。

騎士官学校でいじめられていたときだって、俺は泣きはしなかった。

でもそれは泣きたくなかったからじゃなくて、泣いても誰も受け止めてくれないから。

だからずっと、泣くのを我慢してきた。

そうすることが正しいと教育されてきた。泣いたら怒られたし、弱音を吐くことも許されなかった。

いつしか俺は、泣くことをしなくなっていた。

…本当は、ずっと辛かったのに。

気づかない振りをしてるだけなのに、誰もそんなこと気づいてくれなくて。

学校でのいじめの件を忘れてしまったように、辛いことや苦しいことには全部蓋をして。

でも本当は、泣きたかったんだ。誰かに慰めてもらいたかったんだ。

…もう生きている理由をなくした今になって、そんな人が現れるなんて。

俺は泣いた。ひたすら、みっともなく泣いた。

今まで泣けなかった分も、心の痛みを吐き出すように、泣き続けた。

ひたすら子供みたいに泣く俺の背中を、ルルシーはずっと擦ってくれていた。

そうやって優しくするから、余計に泣けてくる。

泣いて泣いて、泣き終わった後に、死ぬことが出来たらどんなにか楽だろうと思った。

でも、そんなことを許してくれる人ではなかった。