The previous night of the world revolution

姉が俺を助ける気がないと言うのなら、もう俺には何処にも救いはない。

俺にとって姉は、一番の理解者であるはずだったのだから。

その姉が助けてくれないなら、もう誰も俺を助ける者はいない。分かっていたことだ。

結局俺は、その長期休暇で更に打ちのめされて学校に帰っていった。

自分から、地獄に帰っていったのだ。

学年は一つ上がったが、環境に変化はなかった。俺がいたN室は、俺以外のルームメイトは皆俺より一つ年上なだけだから、俺が五年生になるまでルームメイトは変わらない。

まるで誰かに仕組まれてるんじゃないかというくらい出来過ぎている。

四月になって学校に戻っても、状況は相変わらずだった。

毎日ぼこぼこに殴られ、いびられる日々。

けれどその四月から、俺の心境に決定的な変化があった。

何が変わったのかというと、考えるのをやめたのだ。

毎日辛くて苦しかったけど、それをいちいち嘆くのをやめた。

殴られているのは自分なのに、意識は遠くに行っていて、その姿を上から俯瞰して見ている自分じゃない存在が、そこにいた。

心を空っぽにして、ただその時が過ぎるのを待つ。苦しいことは考えない。痛いのは無視する。気にしない振りをして、今を耐える。

過ぎてしまったことは過ぎたこと。これから起こることについては、そのときに考える。

こうすることで、俺は崩れそうになる自分の心を守った。

誰も俺を守ってくれないのなら、俺が自分で守るしかなかった。

本当に守るべき、自分の柔らかい中身の部分を、ちゃんと殻の中に入れて。

心を閉ざして、誰も彼も敵だと認識して、自分に味方がいない状況に慣れることにした。

そう、慣れる。

人間というのは順応する生き物だ。どれだけ辛かろうと苦しかろうと、時間がたてばある程度慣れる。

それでも耐え難い痛みだったけれど、俺はもう、いちいちそれを気にしなかった。

傷ついているのに、傷ついている自分を認めないことで、傷ついていない振りをした。

もう、そうするしかなかった。

俺は生まれたときから、帝国騎士になる為に育てられてきた。それこそが、俺のアイデンティティだった。

だから、その道から外れることは死ぬことと同様だった。

辞めることは出来ない。なら…もう耐えるしかなかったのだ。