The previous night of the world revolution

「…その、今はきっと、世界の終わりのように辛いでしょうけど。人生、どうなるか分かりませんからね。嵐を過ぎればじゃないですけど…通り過ぎてみたら、過去の傷に出来ることも、結構ありますから」

俺は少しでもシャリヤさんの慰めになればと、必死に言葉を紡いだ。

酒に酔った彼女がまともに聞けているのかは分からなかったが、言わないよりは言った方が良い。

「意外と大したことじゃなかったなって、思うこともあるかもしれませんし。だから元気、元気出してくださいね。あなたが幸せになること、俺は祈ってますから。俺なんかが祈ったところでどうにもならないですけど。でも祈ってますから。あんまり、その…自分の人生を、悲観しないでください」

「…」

「…幸せに、なってくださいね。シャリヤさん」

自分で言いながら、なんともまぁ無責任な言葉だ。

口先だけなら、好きなことが言える。

やっぱり俺じゃ駄目だなぁ…。

どうしてもっとこう、上手く言えないのか。

他に何て言おうかと、俺は悶々と悩んでいた。

すると、

「…そうね。ありがとう」

「…ふぇ?」

シャリヤさんは、笑った。

小さく、切なそうに…それでも笑って見せた。

「少し…元気が出た」

「…本当に?」

「えぇ。そんな風に慰めてくれる人は、初めてだから…」

「…」

「…ありがとう」

…元気が出たなら…それなら良かった。