The previous night of the world revolution

思わぬ人生相談をされて、戸惑いはしたが。

それがまた結構深刻な問題で、俺は何と言っていいのか分からない。

女性の権利についての問題は、いつも思うが…俺には、「分かる」とは言えない。

あくまで想像するしかない。だって、俺は女性ではないから。

俺が何を言っても、彼女にとっては何の慰めにもならないかもしれない。むしろ、知った風な口を利くなと言われるかもしれない。

けれども、相談を受けたからには黙っている訳にはいかなかった。

「…その、お相手。優しい方だと良いですね」

「…よく知らない。父の友人だって言ってた…。年も私よりずっと上」

おっさんと結婚させられるってことか。ますます辛い。

大抵の人は、同年代のパートナーを望むからな。

年の差婚とかいうのもあるが…。あれはまた賛否両論だ。

父の友人となったら…どうしても父の面影を見てしまうだろうし。

…物凄く、気の毒に思えてきた。

同情されたところで、彼女は嬉しくないのだろうけど…。

「…それは…辛いですね」

「…」

「何と言って良いのか…どうしてあげられる訳でもないですけど…」

そもそも何故彼女は俺に相談してきたのか。多分酒に酔って口が緩くなってるんだろうけど。

彼女だって、俺にどうにか出来ると思って相談している訳ではないだろう。

でも相談するのは…誰かに聞いて欲しかったということなのか。

それは辛いねって、言って欲しいのか。

「…幸せに、なれると良いですね」

出来るだけ他人事のように聞こえないよう。

俺は、心からの言葉を彼女に言った。

「その…死ぬ間際に、色々あったけど生きてて良かったなぁって、思って死ねると、良いですね」

「…」

「多分…生まれてきたことを後悔しながら死ぬのは…辛いだろうから」

だから。

「いつか、幸せに…なってくださいね。俺は、その、影ながら、密かに、応援してるので」

嘘ではなかった。本気で、この少女に幸せになって欲しいと思っていた。