The previous night of the world revolution

案の定俺の悲惨な成績表を見た姉は、露骨に顔をしかめていた。

…まぁ、成績表だけ見たらそんな反応になるよな。

一歩引いて客観的に見たら、俺もなかなか残念な成績だと思うよ。

「…一体、何がどうなったらこんなことになるんだ?」

と、いう姉の第一声も至極まっとうだ。

実に正しい。

「…ちょっと、言い訳して良いですか?」

「…聞こう」

先にそう前置きしてから、俺は今一度頭の中で、いつもの自分の姿を思い出した。

考えただけで情けない姿を。

本当は言いたくなかった。自分の一番大切な人に、自分がいじめられてるなんて…どうやったら言えようか。

それでも、もう言わない訳にもいかないから。

「…前に姉さんが帰ってきたときに、言えば良かったんですけど」

それが出来たら、苦労しないってね。

「実は…その、あまりルームメイトと、折り合いが良くなくて」

覚悟はしたものの。実はいじめられてるんです、とははっきり言い出せなかった。

姉だって小学生じゃないんだから、大体それで察してくれるだろう。

「学校でも寮でも孤立無援な状態で…正直、勉強とかそれどころじゃないです。毎日ただ、あの場所で一日過ごすだけで精一杯です」

…あぁ、言ってしまった。

言いたくなかったのに。

きっと今ので、全部に伝わっただろう。察しの良い姉のことだから、俺がどんな目に遭ってるか、分かっただろう。

だからきっと、心配するだろうと思った。

大丈夫か、と。

そう言ってくれると、俺は信じていた。

…愚かなことに。

「…それが、言い訳か?」

「…はい」

「それでお前は…そんなものが、免罪符になるとでも?」

…免罪符、だって?

つまり俺の成績が悪いのは、罪だということか。

一瞬姉が何を言ったのか、理解出来なかった。

「ルームメイトは五人いるんだから、全員と仲良くも出来まい。それを…」

「…別に仲良くしたい訳じゃない。ただ…部屋の中で安心して過ごしたいってだけです」

それすら出来ないんだから、今は。

俺はただ、安心して一日を過ごしたいだけなのだ。

何故それが許されない?

「新入生なんだから、多少のいびりくらいあるだろう。私のときもそうだった。適当にあしらっておけば、向こうもいつか飽きる」

「…」

いや、飽きるって。もう一年たってるんですけど。

あなたのときがどうだったかなんて、知らないしどうでも良い。

「まだまだ先は長いんだぞ。その程度のことでいちいち傷ついてるようじゃ、帝国騎士になんてなれない。甘えるな」

「…いじめられてるんですよ、俺」

言葉を弄していては伝わらないことが分かった俺は、はっきりと言った。

少々のいびりでも扱きでもない。集団リンチじみたことをされているのだ。

もし姉が、よくある程度の嫌がらせだと勘違いしているなら…それは大きな間違いだと。

俺は、そう伝えたつもりだった。