The previous night of the world revolution

機内で出された昼食は、何処ぞの料亭の味と称される、それはそれは手の込んだお食事であったが。

俺は、その四分の一ほども楽しめなかった。

と言うか半死状態だった。

「うぅぅ…」

「大丈夫か?」

隣のオルタンスに心配されるほどには、俺はダメージを負っていた。

何かと言うと、あれである。なる人は本当になる、飛行機酔い、という奴。

国内最高峰のスイートなファーストクラスに乗ってるのに酔うって、俺は一体何なんだ。

人間という生き物は地を踏み締めて進化してきたのだから、いくら移動手段とはいえ空を飛ぶなんて、人道に反している。

俺は心からそう思った。

やはり人間たるもの、地を行かねば。空を飛ぶのは鳥さんと虫さんだけで良い。

「飛行機は初めてか?」

「はじ…初めてではないですけど…」

飛行機そのものは経験があるけれど、こんなに長く乗っているのは初めてで。

気圧の問題もあるのだろうか?耳が痛い。

足元がふわふわして落ち着かない。気持ち悪い。

「…さっき昼食でもらった甘味、良ければ食べるか?」

「欲しい…。普段だったら死ぬほど欲しいけども…。今は無理です…」

「そうか…。それは気の毒だな」

この俺が甘いものを前にして、要らないと言うなんて。

最早天変地異だ。明日の天気は晴れのち槍だな。

俺がこんなに苦しんでいるというのに、アドルファスは興味無さそうに映画観てるし。この野郎。覚えとけよ。

「冷たいものを飲むと良いと聞いたことがあるが…」

「…そうですね。炭酸系の…あ」

「あ?」

込み上げる吐き気。これは…やばい。

「…ちょっと、あの…戦ってきます…」

「…そうか。健闘を祈る」

青い顔で言うと、オルタンスはそれだけで察したらしかった。

半泣きで、俺はレストルームに駆け込んだ。

もういっそ死にたい気分であった。