The previous night of the world revolution

…それから二週間後。

俺はその日、ウィルヘルミナさんと市街に出て、更にルシアナさんとも合流して。

そこで開かれた女性人権サミットに参加した。

サミットそのものは非常に有意義なものだったが、その帰り道にて。




「…そういえば、貴殿は来月、アシスファルト帝国に訪問するそうだな」

「あ…はい」

あの後、姉さんは本当にオルタンスのもとを訪れて。

馬鹿の弟を宜しくお願いします、と頭を下げたらしい。

何故俺は、姉さんにそこまで信用されていないのか。

「お土産買ってきますね。ウィルヘルミナさんにも」

「いや…別に土産の催促ではないが」

「お菓子…お菓子が良いですよね?」

「…まぁ、何でも良い」

良かった。姉さんみたいに菓子は要らないと言われたら、帝国騎士団の隊長連は人外生物の巣窟になるところだった。

じゃあ、ウィルヘルミナさんにはお菓子買ってこよう。

「正直なところ…就任して一年にも満たない貴殿を、オルタンス殿が遠征に連れていくとは思わなかった」

「…未熟者ですしねぇ、俺」

「私も最初はそう思っていた」

正直でよろしい。

ってか、隊長連は皆思っていたことだろう。

騎士官学校出たての青二才野郎に、こんな大役が勤まるか、と。

そういやアドルファスなんて、三日持つか持たないかとか言ってたんだもんなぁ。

三日どころか、一緒に遠征に行く仲になってしまった。どんな仲だ。

「だが、貴殿は私が思っていたより遥かに優秀だった。貴殿を未熟者などと蔑んでいた自分が恥ずかしくなるほどに」

「そんなにお世辞言ってくれなくて良いんですよ?」

かなり贔屓が入ってるなぁと、俺は苦笑した。

「世辞ではない。本心だ。それに…皆そう思っているだろう。でなければオルタンス殿も、貴殿を連れていこうなどとは思わない」

…まぁ、ある程度期待と言うか、それなりのことはやってくれるだろうという確信があるから。

わざわざ後学の為と言って、俺を連れていってくれるんだろうけど。

そうなのかな?本当は、その日に他の隊長は仕事が入っていて仕方なく、とかいうオチなんじゃないだろうか。

残念ながら俺は昔から、自分に自信なんて持てないのだ。

何でそうなってしまったのかは、覚えてないけど…。

「将来有望だな。貴殿は。姉君も大層誇らしいだろう」

「いやぁ…どうなんでしょうね」

二人に迷惑を掛けるなよ、って散々釘を刺されたし、そんなに誇らしくはないんじゃないかとも思うが。

それでも期待してくれる人がいるなら、ちょっとは頑張ってみようかという気にもなる。

…砂糖菓子も楽しみだしな。