The previous night of the world revolution

「姉さんこんにちはー」

俺は、二番隊の姉さんのもとを訪れた。

ルルシーがいないなら、俺の愚痴り相手なんて姉さんくらいしかいない。

「…お前、仕事はどうした」

姉さんは俺の姿を見て、あからさまに顔をしかめたが。

「聞いてくださいよ。俺の初海外旅行がー」

「話を聞け」

「男三人のむさ苦しい旅になっちゃうんですよー。酷いと思いません?」

「…何の話だ」

あ、姉さんまだ聞いてないのか。

「それより仕事はどうしたんだ」

「…」

す…っと視線を逸らし。

「…俺来月、アシスファルト帝国に行くんですよ。お仕事ですけど」

「…」

姉さんは顔をしかめたまま、呆れたように溜め息をついた。

事あるごとにルルシーのもとに茶化しに行ったり、こうして姉さんに泣きついたり、挙げ句の果てにはお昼寝したりと、隊長の癖に暇を持て余してる風の俺だが。

これでも、仕事はちゃんとしている。

ほら。俺はあれだ。要領が良いのだ。要領が。

決して、納期ぎりぎりの前日になって半泣きで徹夜したりなんかは…してない。うん。

「…アシスファルトと言うと、新帝王の即位式典か」

「そう、それです。オルタンス殿に指名されちゃって。アドルファス殿も一緒に」

「…」

姉さんは何とも言えない顔で、俺をじっと睨み。

「…我が儘を言って、二人に迷惑を掛けるんじゃないぞ。良いな?」

「…俺は何歳ですか…」

さすがにないよ。

姉さんからの信頼が皆無。

「しかし、何でお前みたいな青二才をわざわざ連れていくんだか…」

「後学の為、だそうです」

「そうか…。後でオルタンス殿のもとに直々に頭を下げに行こう。馬鹿の愚弟の面倒を見てもらうことになるのだからな」

「…俺は何歳ですか…」

そろそろ一人前扱いしてもらえませんかね。まだ駄目ですか。

姉さんにとってはいつまでも幼い弟、扱いなんだろうな。切ない。

「まぁ、見聞を広めるのは良いことだ。これを機に、色々見てくると良い」

「はい」

勿論、そのつもりだが。

「…に、しても意外だな。お前はそういう仕事はもっと渋ると思ったが」

「あぁ、オルタンス殿が、アシスファルト帝国行ったら砂糖菓子一杯食べれるんじゃないかって言うもんですから」

そんな見返りでもないと、二つ返事で了承したりはしない。

それを言うと、姉さんは心底呆れたように溜め息をついた。