The previous night of the world revolution

…一方。俺がそんな核心に迫った質問をしている頃。

倉庫の扉の外では。




「…ルシファー殿は、大丈夫だろうか」

閉ざされた倉庫の扉を心配そうに見つめながら、ウィルヘルミナさんが言った。

倉庫の外では、俺とリーフリルさんの会話はほとんど聞こえていない。

今のところ爆発音は聞こえていないが、中ではどんな会話が繰り広げられているのか。

ウィルヘルミナさんは、気が気でないようだった。

「やはり、突入した方が…」

「今の状況では、逆上してスイッチを押される可能性が高い。ルシファーが折角平和的に和解しようとしているのだから、それを邪魔することは出来ない」

一方のオルタンスは、何処までも冷静であった。

俺の交渉がもし失敗すれば、突入も辞さないのだろうけど。

平和的に解決出来る手だてがあるのなら、まずそちらを優先する。いかにも彼らしい判断だ。

その判断が正しいことは理解していても、納得は出来ないらしいウィルヘルミナさんは、まだ何か言いたそうだったが。

結局は何も言わず、黙って倉庫の扉を眺めていた。

見ているだけで何も出来ない自分が歯痒いのかもしれない。

と、そこに。

「オルタンス殿」

校舎内に仕掛けられているという爆弾の捜索を指揮していたリーヴァが、戻ってきた。

「見つかったか?」

「いや…。それらしいものは何処にも」

当然だ。リーフリルさんは校舎内に爆弾なんて仕掛けていないのだから。

それは、彼女の嘘である。

「爆弾を仕掛けたというのは虚偽なのではないかと。それに…爆薬庫から紛失した爆弾も、彼女が抱えている分だけしかなくなっていないそうだ」

減っているのは、リーフリルさんが今抱き込んでいる分だけ。その他は爆薬庫に残っている。

その他のルートから爆薬を入手するのは至難の技だ。

だから、つまり。

「…やはり校舎内に仕掛けたというのは、事態を大きくする為の嘘か…」

「恐らくは」

これだけ探しても見つからないなら、もうないのだ。

校舎内に仕掛けたというのは、嘘。

実際それは、彼女がついた嘘だった。

「…それでも、まだ絶対にないとは言い切れん。一応捜索は続けてくれ」

「分かった」

「現場で指揮する必要はない。数名に捜索にあたらせて、貴殿はここにいてくれ」

リーヴァは頷いて、部下に指示を出した。

…と、そこで。

「…そういえば、ルシファー殿は何処に?避難指揮か?」

俺の姿が見えないことに、リーヴァはようやく気がついたらしかった。

彼は先程まで校舎内の捜索にあたっていたから、俺が単身乗り込んでいってリーフリルさんの説得にかかっていることを、まだ知らないのだ。

「…この中だ」

オルタンスは淡々と、倉庫の扉を指差した。

「…えっ」

これにはさすがのリーヴァも、肝を冷やしていた。