The previous night of the world revolution

…良かった。返事をしてくれた。

俺は顔を綻ばせながら、話を続けた。

「歴史ですか。凄いですね。俺の苦手な科目トップ3に入りますよ」

「…」

「覚えるのが苦手なんです。リーフリルさんは、ひょっとして今流行りの、歴女って奴ですか?歴史上の人物で好きな人とかいます?」

「…アステル・ヘールストロイダって知ってる?」

「あっ、あれですよね。ノヴェルヴェム騎士軍の。初代帝国騎士団長と呼ばれてる人。あの人好きなんですか?」

「うん」

良かった。割とポピュラーな人物で。

折角言ってくれたのに俺が知らなかったら意味がない。

「銅像建ってますよね、あの人の。見たことあります?」

「うん」

「俺もありますよ。遠足か何かで見に行きました」

そんな風に、話を広げたところで。

「他に好きな授業あります?」

「…ない。苦手なのばかりだもの」

「そうなんですか。俺も苦手な科目多かったでしたよ」

「…嘘。隊長になれるほど優秀なら、苦手な科目なんてなかったでしょ」

声に険が混じる。でも、俺は慌てない。

「苦手ばっかりですよ。今でも、自分が優秀だなんて思えない。本当に優秀なら、俺は一言であなたを助けてあげられるでしょう。でも俺は馬鹿だし無力だし童貞だから、こうしてあなたとお喋りすることくらいしか出来ない」

…あれ?童貞関係なくね?

自分で言っておきながら、なんか違うようなこと言った気がする。

「何もかも得意だったら良いんですけど。でも、そんな完璧人間、何処にもいませんよ」

「…」

「だから、あなたの気持ちも分かるんじゃないかと思うんですけど」

「…分からないわ。そんなの」

「そう思いますか?」

「だって、あなた友達がいたんでしょ?」

あぁ。さっき言ったね。

「俺の友達は、一人だけですよ」

「…」

「たった一人。あとは皆から嫌われ者です。若輩者でひよっこで。あなたが思っているほど、俺は大した人間じゃないんです」

自分に自信なんて、持てた試しがないのだ。俺は。