The previous night of the world revolution

俺の両手には、スイーツがたっぷり乗った皿が二枚。

その状態で、無言で見つめ合うこと30秒。

隣のルキハはすっ、と視線を逸らしていたし。

ウィルヘルミナさんの隣にいたお友達らしき女性も、物凄く気まずそうによそを向いていた。

「………………貴殿の、姿を見つけたものだから、挨拶を済ませておこうと思ったのだが…。取り込み中だったか」

「…いや…あ…いえ…」

「…済まない。後で出直す」

気まずそうに立ち去ろうとするウィルヘルミナさんを、俺は全力で止めた。

「ちょ、大丈夫です今でも!今挨拶してください!」

あっ。でも両手のこのお皿どうしよう。

…少し考えて。

「ルキハさん。一生のお願いなんですが…。ちょっとこれ持っててくれませんか」

「断る」

「一生のお願いなのに!」

「断る。お前がどう思われようと勝手だが、俺はスイーツ系男子だとは思われたくない」

酷い。今さっきまで心優しい友だと思ってたのに。

「お願いしますよルキハさん!俺の!俺の一生のお願い!」

「勿体ないからこんなところで一生のお願いを使うな」

「毒食らわば皿までって言うじゃないですか!」

「意味分からん。今関係ないだろ」

どうしよう。泣きたい。

さっきまで夢が一杯乗ったお皿を二枚も持って幸せだったのに。

「…はぁ。仕方ない。俺がスイーツ系男子だと誤解されたら、お前が釈明して回るんだぞ」

涙目になっている俺の手から、ルキハは皿を奪い取った。

天使だ。彼こそ俺のメシアだ。

両手がフリーになったので、改めて。

「あ、はい。どうもこんばんは。彼女ですか?俺に紹介したかった女性というのは」

「あぁ…。…そうだな」

ウィルヘルミナさんも切り替えは早い方であるらしく。

戸惑いながらも、隣にいた女性を紹介してくれた。