The previous night of the world revolution

きらびやかな装飾が施された会場に辿り着き。

やることと言ったら、一つしかない。

「…さて、ルキハさん」

「うん?」

「スイーツを、食べましょう」

「…」

ルキハはずるっ、とずっこけた。

漫画みたいだ。

「お前は。最初にやることがそれか」

「だって。一番の楽しみじゃないですか」

式典は立食パーティー形式で、好きな料理を好きなだけ取って自由に食べることが出来る。

勿論スイーツの種類も豊富。ここで食べなきゃいつ食べる。

「挨拶回りは良いのか」

「そういうのは偉い人がやるんですよ。姉さんとかオルタンス殿とか。俺みたいな新人のお子様は、お菓子を食べてれば良いんです」

「都合の良いときだけ子供になるな」

俺が挨拶する人は、ウィルヘルミナさんのお友達くらいだ。

それも立派なお仕事だけども。

「そんな訳なのでルキハさん。スイーツ食べましょう?」

「どんな訳だよ…」

ぶつぶつ言ってるルキハを引き連れて、スイーツの並ぶテーブルに直行する。あぁ、夢が広がる。

じゅるり、と涎が垂れる。絶対美味しいからこれ。絶対美味しいからね。

しかも俺は本日、お昼を抜いてきた。

勿論、しこたまスイーツを食べまくる為である。

今の俺は、さながら掃除機だ。

スイーツを何でも、たっぷりと、吸い込みまくってやる。

平皿を二枚両手に持ち、その上に様々な種類のスイーツを、これでもかとこんもり乗せる。

ルキハが隣でドン引きの表情を見せていたが、そんなことは気にしない。

だってほら。姉さんに言われたし。他人の評価は気にするなって。

スイーツがたっぷり乗った夢の皿を二枚も持って、さて、ちょっと隅の椅子に腰掛けて好きなだけ堪能しようかなーと。

そう思ったときだった。

「…ルシファー殿?」

「…ふぇ?」

振り向くと、そこには引き気味の顔をしたウィルヘルミナさんの姿があった。