The previous night of the world revolution

ルームメイト五人全員が、俺へのいじめの首謀者だったけれど。

その役割は、全員同じではなかった。

暴力が好きなのはシューレン。でも、ろくでもないことを閃くのは、そのシューレンの親友である、ベリエス・エル・シュレーゲルだった。

こいつが余計なことを思い付き、シューレンが同調して、実行するのはその他の取り巻きの三人。

大抵が、そういう構図だった。

上下関係が厳しい社会では、少なからず先輩から後輩へのいびりはあるだろう。

恐らくどの部屋でも、大なり小なりそういうことはあったはずだ。

後輩は先輩に気を遣い、時には先輩からの理不尽ないびりにも、歯を食い縛って我慢することはあっただろう。

その点は理解する。こんな閉鎖された封建制の生活では、どうしても先輩からの扱きはある。

だから、ある程度は許容するつもりだった。

しかも俺は、ウィスタリアの名を背負っていた。

学園の中では、その名前を知らない者はいなかった。

姉はその頃には既に帝国騎士団二番隊の隊長に就任していたし、俺は余計人気者だった。

悪い意味の方で、だ。

家の名前。姉の名前。そして、なまじ才能のあった俺。

やっかまれない訳がなかった。僻まれない訳がなかった。

同輩の人間よりは、いびられるだろうなとは思っていた。姉も騎士官学校出だが、在学中はその類稀な才能の為に、嫌な目を見たことがあるらしい。

けれど、俺ほどではないのは確かだった。

少なくとも姉は、俺のように空虚な目はしていなかった。

覚悟はしていた。

けれど、これほどとは思わなかった。

いびりは、予想以上に酷いものだった。それは日に日にエスカレートしていき、耐え難いものになっていた。

あの部屋で、俺には人権なんてなかった。

本物の、サンドバッグだった。

いびりなんてものじゃない。あれは最早、集団リンチだ。

身の毛もよだつような、ありとあらゆるおぞましい方法でいじめられた。

希望に満ち溢れていたはずの俺は、段々…精神をやられていった。

元々、ストレスには慣れているつもりだった。幼い頃から厳しい家庭教師に指導されていたから。

実際、あの学生寮がなければ、俺はなんとか耐えられただろう。

けれど、無理だった。

俺はとても、あのいじめに耐えられなかった。

何故なら俺の苦痛は、学生寮のみに限られなかったからである。