The previous night of the world revolution

女性と、子供の人権問題。

はっきり言えば、興味がない訳では、ない。

騎士官学校時代でも、社会問題の一つとして授業で取り上げられていたし。

…まぁ、男ばかりの帝国騎士官学校では、あまり学生が関心を持つテーマではなかったが。

貴族生まれの人間にとっては、そりゃそのようなテーマは縁遠いだろう。

実際俺も、身近にそんな人間を知ってる訳ではないから…縁遠いと言えば、まぁ縁遠い。

とはいえ、縁遠いからって無視していれば、永遠に縁遠いままだ。

…それに、俺にも何か出来るなら、やりたい。

だってこのままだと、童貞の暇人というレッテルを貼られてしまうし。

どうせ童貞なら、せめて良いことをしてる童貞になろう。

…胸を張って言うことではない。

「…分かりました。俺に出来ることがあるなら、協力します」

「良いのか?」

すんなりと了承されるとは思っていなかったのか、ウィルヘルミナさんは少し驚いていた。

「えぇ。大丈夫ですよ」

「…正直、興味がないと言われるのではないかと思ったが」

「あなたに言われて、ちょっと興味が出ました」

誘われなければ、多分一生関わることはなかったと思う。

でも、今誘われたから。

「…分かった。ありがとう」

そこで初めて、ウィルヘルミナさんは少し微笑んだ。

この人笑うんだなー…と、ふと思った。