The previous night of the world revolution

そして、会議後。

憂鬱な会議も終わったので、生まれたての少女のように軽やかに執務室に帰ろうとしていると。

それを引き留める者がいた。

「ルシファー殿。少し良いか?」

「はい…?」

俺を呼び止めたのは、先程真っ先に俺のフォローに入ってくれた六番隊の隊長、リーヴァだった。

「あ…。さっきはありがとうございました」

ちゃんとお礼言っておかなければと、俺は頭を下げた。

「いや、気にするなと言っておこうと思ってな」

「はい?」

「先程も言ったが、貴殿はまだ若い。それに将来有望だ。アストラエア殿やユリギウス殿は、経験の浅い貴殿を好かないようだが…。逆に言えば、貴殿に足りないのは経験だけだ。そして経験は、この先いくらでも積むことが出来る」

「…はい…」

「だから、気にするな。何を言われても、堂々と構えていれば良い。そう言おうと思っていたんだ」

「…」

…神様。どうかこのリーヴァさんに、祝福を与えたまえ。

本日の俺のメシアは、間違いなくこの人だ。

「ありがとうございます…」

「俺は個人的に、貴殿には期待しているからな。精進してくれ」

あぁ、リーヴァ殿がいて良かった。本当に良かった。

褒めて伸びるタイプの俺には、心の清涼剤である。

感動の涙を流さんばかりに喜びを噛み締めていると、そこに。

「いやぁ、気の毒だったなぁ」

俺をフォローすると見せかけて不意打ちをかましてきたアドルファス殿が、俺の背後から現れた。

「気の毒って…」

「部下と同僚がアホだと苦労するなってことだ」

それってもしかして、あなたも入ってます?とは聞けなかった。

何をにやにやしてんだ、この人。

「まぁ、いちいち気にすることじゃない。何なら慰めてもらうか?今日はさっさと仕事切り上げて、風俗にでも行ってこいよ」

「どぅあ…!?」

あまりに突拍子もないことを言われ、俺は動揺し過ぎて変な声が出てしまった。