徹夜して作った報告書を、色々補足しながら読み上げるだけでもストレスでげんなりしていたのに。
加えてそんなこと言われたら、泣きそうになるからやめてくれ。
でも正論だ。申し開きも出来ない。
「隊長が若くて指導力に欠けるから、このようなことになるんだ」
五番隊隊長、アストラエア・ユーヴェン・カルトヴェリアは、憮然としてそう言った。
更に。
「同感だ。ただでさえ、最近四番隊はまとまりに欠けている。偏に隊長の力量不足だ」
九番隊隊長のユリギウスも、俺のことが気に入らない一人。
ここぞとばかりに俺を糾弾してきた。
あぁ、痛い痛い。
力量不足なのは分かってるけど、そんなつっけんどんに言わなくて良いじゃないか、と文句言いたくなる。
「今回はまだ、大きな事件にはならなかったから良かったものの…」
「…済みません。今後は指導を徹底して…」
言い返しても何にもならないから、俺は教科書通りの台詞に逃げようとした。
しかし、それを許すような彼らではない。
「口だけなら何とでも言える。この先更に凶悪な事件が起きたら、どう責任を…」
「おーおー。年下に向かって必死だねぇ。妬みにしか聞こえねぇんだけど」
…と、そこで。
助け船なのか、素なのかは知らないが…三番隊隊長のアドルファスが、にやにやしながら言った。
「実力で負けてんだから、責められるところって言ったらその辺しかないわな。醜いねぇ」
「…何だと?」
アストラエアは一瞬でキレたが、アドルファスはびびることもなくにやにやするだけ。
え、えぇぇ…ちょ、喧嘩が始まりそうだ。
「こいつが統率力に欠けることくらい、指摘しなくてもみーんな分かってることだろ。今更責めても説得力ねぇぞ」
フォローするつもりは全くないのが分かった。
アドルファスはアドルファスで心を抉ってくる。
「いい加減に…」
「そのくらいにしたらどうだ。これ以上は不毛だ」
キレたアストラエアが言い返そうとするのを、六番隊隊長、リーヴァ・アギリス・ヘルブラッドが止めた。
「誰でも最初は人望もないし統率力もない。彼はまだ若い。これからいくらでも経験を積めるのだから。今の力量不足を責めるのはおかしいだろう」
彼こそは、本当に俺をフォローしてくれているようだ。
こんなとき、俺は大海原で陸地を見つけたみたいな、そんな気持ちになる。
そして。
「確かにこの度の件で、ルド・ウィスタリア卿にも落ち度はあるかもしれないが…。彼は充分責任を取ったし、誠意も見せた。何より忘れてはいけないのは、事件を起こしたのは彼ではない」
この場で最も地位の高い帝国騎士団長、オルタンスが静かにそう言うと…アストラエアも黙らざるを得なかった。
「この件については、ここまでだ」
オルタンスが宣言し、俺はほっと胸を撫で下ろした。
気を緩めて良い立場ではないのは分かっているが…。ひとまずは安心した。
加えてそんなこと言われたら、泣きそうになるからやめてくれ。
でも正論だ。申し開きも出来ない。
「隊長が若くて指導力に欠けるから、このようなことになるんだ」
五番隊隊長、アストラエア・ユーヴェン・カルトヴェリアは、憮然としてそう言った。
更に。
「同感だ。ただでさえ、最近四番隊はまとまりに欠けている。偏に隊長の力量不足だ」
九番隊隊長のユリギウスも、俺のことが気に入らない一人。
ここぞとばかりに俺を糾弾してきた。
あぁ、痛い痛い。
力量不足なのは分かってるけど、そんなつっけんどんに言わなくて良いじゃないか、と文句言いたくなる。
「今回はまだ、大きな事件にはならなかったから良かったものの…」
「…済みません。今後は指導を徹底して…」
言い返しても何にもならないから、俺は教科書通りの台詞に逃げようとした。
しかし、それを許すような彼らではない。
「口だけなら何とでも言える。この先更に凶悪な事件が起きたら、どう責任を…」
「おーおー。年下に向かって必死だねぇ。妬みにしか聞こえねぇんだけど」
…と、そこで。
助け船なのか、素なのかは知らないが…三番隊隊長のアドルファスが、にやにやしながら言った。
「実力で負けてんだから、責められるところって言ったらその辺しかないわな。醜いねぇ」
「…何だと?」
アストラエアは一瞬でキレたが、アドルファスはびびることもなくにやにやするだけ。
え、えぇぇ…ちょ、喧嘩が始まりそうだ。
「こいつが統率力に欠けることくらい、指摘しなくてもみーんな分かってることだろ。今更責めても説得力ねぇぞ」
フォローするつもりは全くないのが分かった。
アドルファスはアドルファスで心を抉ってくる。
「いい加減に…」
「そのくらいにしたらどうだ。これ以上は不毛だ」
キレたアストラエアが言い返そうとするのを、六番隊隊長、リーヴァ・アギリス・ヘルブラッドが止めた。
「誰でも最初は人望もないし統率力もない。彼はまだ若い。これからいくらでも経験を積めるのだから。今の力量不足を責めるのはおかしいだろう」
彼こそは、本当に俺をフォローしてくれているようだ。
こんなとき、俺は大海原で陸地を見つけたみたいな、そんな気持ちになる。
そして。
「確かにこの度の件で、ルド・ウィスタリア卿にも落ち度はあるかもしれないが…。彼は充分責任を取ったし、誠意も見せた。何より忘れてはいけないのは、事件を起こしたのは彼ではない」
この場で最も地位の高い帝国騎士団長、オルタンスが静かにそう言うと…アストラエアも黙らざるを得なかった。
「この件については、ここまでだ」
オルタンスが宣言し、俺はほっと胸を撫で下ろした。
気を緩めて良い立場ではないのは分かっているが…。ひとまずは安心した。


