目が覚めたら呼んでくれるよう、医師に頼んでから、俺はしばらく仕事に戻り。

そして数時間後、ルシファーが起きたと医師から連絡を受け、再び医務室を訪れると。

ルシファーはぽかーん顔で、ベッドに座っていた。

「…大丈夫か?」

また変なことを言い出したら殴って寝かせようと心に決め、俺はルシファーに歩み寄った。

「…あ、ルキハさん…。おはようございます」

よし。ちゃんと俺が誰だか分かってるし、しかも目の焦点もちゃんと合ってる。

どうやら復活したようだ。

まだ目の下に隈はあるし、やつれてはいるが…ひとまず生命の危険は去った。

殴る必要はなさそうだな。

「ルキハさんは…何でここにいるんですか?」

「自分が何でここにいるのか考えてみろ」

「…?ルキハさんが殴って気絶させたから?」

「未遂だ未遂。殴ってない。お前が勝手に寝ただけだ」

殴ろうとはしたけど殴ってはない。これは大きな違いだ。

やっぱりまだ寝惚けてるのか?

「過労で倒れかけてたんだぞ。何をやってるんだお前は」

「…」

どうやら心配をかけたらしいことに気づいたのか、ルシファーは申し訳なさそうな顔をした。

そんな顔をする前に、少しは弁明をしろ、弁明を。

「だって…その、仕事が忙しくて」

そして出てきたのは、そんな苦し紛れな弁明。

言い訳するのが下手な奴だ。

「寝る暇もないくらいにか?水を飲む暇もないくらいに?」

「…」

「一週間もほぼ飲まず食わず寝ずで、生きていけると思うなよ」

「…済みません」

謝ってもらっても困る。

「何でこんなことになった?」

「…」

「お前が要領良いことは知ってるんだからな。下手な言い訳しても無駄だぞ」

「…」

まだだんまりか。

なら、こちらから切り出してやるか。

「…あの副隊長か?」

そう尋ねると、ルシファーはどきっ、としたように顔を上げた。

…やっぱりあの女か。

ろくでもない奴だから、さっき殴っておくべきだったか。