「…」

生憎ながら、俺は八番隊所属の人間なので、四番隊のことはほとんど知らない。

だから彼女が誰なのかも、分からなかった。

だが、その険悪な表情から、ルシファーの味方ではないことは察した。

「…八番隊分隊長の者です」

「八番隊の人間がどうしてこんなところに?」

「ルシファーの…あ、いえ、四番隊隊長の、友人で。様子を見に来たら具合が悪そうだったので…」

そう事情を説明すると、その女は眠っているルシファーをじろっ、と睨んだ。

どうやらルシファーのことが余程気に入らないらしいが…。

「…あの、失礼ですが、あなたは?」

「四番隊副隊長です」

副隊長だと?

と言うことは、ルシファーの右腕的な存在なのか。

随分慇懃無礼な右腕だ。

ルシファーが若輩者なのは確かだと思うが、だからってこの態度は如何なものか。

口を出せる立場じゃないから出さないが。

「…やっぱり、この人は隊長に相応しくないわ」

ルシファーを睨みながら、副隊長様はそう呟いた。

「この程度で音をあげるなんて…」

「…この程度、がどの程度なのかは知りませんが」

俺は分かってしまった。彼女がどうやら、ルシファーを攻撃したくて堪らないらしいことを。

「…彼は、誰よりも隊長に相応しいと思いますけどね」

「…」

ルシファーを擁護する俺が気に入らないのか、副隊長様はきっ、とこちらを睨んだが。

「…起きたら、さっさと溜まってる仕事を終わらせてください、と伝えて」

「…分かりました」

そう言い残して、副隊長様は退室した。

…なんということだ。ルシファーは。

彼には、本当に敵が多い。

アウェーに放り込まれている俺より敵が多いなんて、なんとも不公平ではないか。