The previous night of the world revolution

思わず素で反応してしまった俺の後頭部を、姉さんにしばかれた。酷い。

「えあ、な、何でですか?」

とりあえず理由を聞かねばと、俺はそう尋ねた。

今この人は、自分と手合わせしてくれないか、と言ったな?

俺の聞き間違いじゃないよな?生憎聴力は人並みかそれ以上だ。

「学校側から提出されたお前の推薦書を読んだ」

「あ、はぁ。それが?」

「その評価を見る限りでは…お前は隊長連に並ぶほどの実力の持ち主なようだが」

「…」

…雲行きが怪しくなってきた。

俺の心の天気予報は曇り空だ。

「だが、やはり書類だけでは判断しかねる。ならば実際にこの目で見て決めようと思ってな」

「…左様ですか…」

「そんな訳だから、今ここで手合わせしてくれ。殺すつもりでかかってきてくれて構わない」

…誰か。

誰か俺の為に、状況を説明してくれないだろうか。

物凄く淡々と、丁寧に説明してもらってる自覚はあるのだけど、いまいち納得が出来ない。

いや、納得出来る訳がない。

相手は、帝国騎士団長だぞ?

騎士官学校においては、女王の次に偉いとされている、それこそ雲の上の存在だぞ?

その人が、直々に手合わせを所望する?

正直、泣いて逃げ出したかった。

大体、今しがた卒業式を迎えてほくほくしている学生を、強面六人で囲んで剣を取れなんて、そんなのカツアゲと紙一重じゃないか。

良いのか。帝国騎士団がそんなことをして。甚だしく正義に反するだろう。

嫌ですと言いたかったが、残念ながら今の俺は、「お願い」されているのではなく、命令されているのだ。

つまり、拒否権なし。

切実に、後ろのルキハと代わって欲しかった。

こんなときこそ真の友情を見せるべきではないかと思ったが、俺の親友は、やはり私関係ありませんみたいな顔で、付き添いに徹していた。

この、薄情者め。