「雑誌見たよ!」
久しぶりに蒼に話しかけた。

蓮君とも気まずいし、蒼とも前よりは話しかけないようにしてた。

「あ、見てくれたんだ」
笑顔で蒼は授業の準備してた手を休めた。

教科書とノートが机に並ぶ。

蒼の笑顔に私も嬉しくなった。

前は普通に見てた。

「いつもと全然違うね。この前のスナップとも違う。シュッとしてて、あんなふうに雰囲気もガラリと変わるんだね」

「そりゃぁ、ヘアメイクのプロがセットしてくれて、衣装もカメラマンも照明も本物だからね」

「確かに」

「ほんと、前のスナップよりも緊張してビビった。
大丈夫かな?大丈夫かな?って心の中でつぶやいて。ポージングとか目線もわからないし…勉強しなきゃって思った」
自信なさそうに、蒼は言った。

「大変なんだね」
私にはわからない世界。
想像しか出来ない。


「何か別人みたい」
私は言った。

蒼だけど、蒼じゃないみたいな。
前までとは佇まいが変わった。
存在感があるっていうのかな。

「そうかな……まだ、全然慣れないけど。
学校での反響すごい!
知らない子から話しかけるとびっくりするし、女子に囲まれて怖い」
蒼は苦笑いしてた。

「モテモテだね」
冷やかすように言った。

「ないない」
蒼は手を振った。

「自分の好きな人…ただ一人に、好きになってもらえればそれだけで十分。ま、難しいけどね」
背中を向けてつぶやくように蒼は言った。

蒼は好きな人いるのかな?
ふと思った。
モデルの世界にも美しい人はいるし、たくさんの囲み女子の中に好きな人いるのかも。