「スカウト…人から選ばれるなんてすごいよね。
普通に生活してたらなれるモノじゃないし。
頑張ってね。
最近何か雰囲気変わったよね」
私が推しちゃった気がして……大丈夫だったかな?

「そう?」
こっちを見て蒼は言った。

その時蒼ってこんな顔だったっけ?
モヤシだと思ってたけど、カッコよかったんだ。
この前の雑誌みたいに。
モヤシと思ってた私が見る目なかった。


「うん」
私は言った。

蒼の横顔がいつもと違って見えた。
多分決心したからかな。
蒼はどんどん磨かれていく。
どんどんカッコよくなって。

雑誌をみた女の子が蒼を一目見ようと、クラスを覗きにきたり。

購買や食堂で昼休みの蒼を、探しにくるようになった。
蒼の近くは騒がしくなった。


背も高くて、背筋もピッとしてて、手足が長くて
あぁこういう人がモデルになるのか。
マジマジと見つめてしまう。
だんだん遠くなっていくんだね。

「何?顔何かついてる?」
頬を指でこすって蒼は言った。

「何でもない」
しまった、見すぎた。笑ってごまかして言った。