彼がモデルになったら

すぐに電話が蒼からかかってきた。

「月が綺麗だね」
蒼は嬉しそうに弾んだ声だ。

「近くにあるように見えてさ。
手が届きそう。
今、蒼が隣にいるような気がするから不思議。
電話してるからかな?」

私は届かない月に手を伸ばして言った。


「そうかも。声が聞こえるから」

「今、蓮君とファミレス行った帰りなんだ」

「そっか、良かったじゃん。
最近のあや浮かない顔してたから。
これで、元気になれんじゃん」
蒼の声が響く。気持ちが落ち着く声なんだ。


「何かさ、蒼と一緒にいないでって蓮君に言われたのにね。
ラインしちゃった」
一気に言った。

「うん」
蒼は言った。

「やっぱ寂しくて」
肩を落として言った。

「ま、あやが笑ってられれば……それでいい、それだけだから。挨拶くらいとか、一言話すくらいならいいでしょ?」

「そうだよね、急に全く話せなくなるわけじゃないよね」
ホッとした。蒼と話せなくなるなんて悲しすぎる。

「うん」
彼氏ができるって、友達との距離が出来ることなのかな?

沙織も太一と付き合って私と遊ぶの減った。

さみしいなあ。