「受け取ってくれて、ありがとう」

それだけを言うのが精いっぱいだった?

その場を立ち去ろうと、蓮君に背を向けて歩き出した。

渡せただけ良かったんだ。

本当はクッキー渡したかったけど、割れてて無理だった。

蒼にあげるはずだった友チョコ。


「待って」

突然蓮君の声がした。



「え?」

私は驚いて振り返った。



「なんで、これくれたの?」

蓮君は透明なハートマーク♡のラッピングを覗きながら言った。


「うまくできなくて…ごめん」

ひどい出来栄えのをなんで渡してきたのか聞きたいよね。