「これさ、蓮に渡したらいいじゃん?割れてないし」

蒼は真剣に言う。



なんか複雑じゃない?

蒼のぶんだからって言った手前考える。


「今さっき、蓮が部活行きそうだったからチャンスだと思う。

なんか、一人で歩いてたし」



「あ、うん。けど、完全にふられるってわかってるのに、渡すの勇気がいるよ」


「んなこと言わないで、スマイルスマイル」

そう言って、蒼は私の後ろに回って背中を押した。



蒼からチョコを受け取って走る。



沙織はいつの間にかいなくなってた。


「蓮君……」


私は蓮君を呼び止める。





ゆっくりと蓮君は振り返った。



付き合ってた頃みたいな近い距離。

久しぶりなんだ。